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立命館大学で朝鮮半島シンポ、朝米会談に期待と展望

300人が参加

立命館大学で行われた朝鮮半島シンポ

 国際シンポジウム「朝鮮半島の和解・協力10年−評価と展望−」が5月30、31日の両日、立命館大学コリア研究センター(徐勝・同センター所長)の主催で開かれ、約300人の聴衆が熱心な議論に耳を傾けた。

 初日は元南側統一部長官の丁世鉉・民族和解協議会常任議長、徐忠彦・在日本朝鮮人総連合会中央国際統一局長、エバンス・リビア・THE Korea Society会長(元米国国務次官補)、衆議院議員の岩國哲人・民主党国際局長が基調報告を行った。

 「対北包容政策の形成と展開、そして展望」と題して報告した丁世鉉氏は、6.15共同宣言以降、南北の政治・経済会談は盧武鉉政権末期まで141回、軍事会談は45回を記録したと指摘。「そうしたプロセスのなかで、現在69の南の企業が開城工業団地に進出、北の労働者2万6000人が働くようになった」と述べ、さらに、金剛山観光は昨年末に開始から約9年間で180万人を超え、今年からは開城市内観光が開放され、一日あたり300〜400人の南の市民が開城を往来していると指摘した。

 丁氏はこうした南北関係の軍事的緊張関係の緩和によって、「南の信用が上がり、海外投資と輸出が増え、外貨保有高が増大した結果、IMFからの負債を当初より早く返済できた」と指摘、南側保守層の「一方的支援」という非難は当たらず「支援額の数十倍、数百倍の経済的利益を得た」と述べた。

 同氏は、李明博政権が出帆して南北関係が停滞しているが「米朝関係が早い速度で改善されつつある中、李政権は対北包容政策の原点に戻る以外に他に代案はない」と断じた。

 徐忠彦氏は6.15共同宣言と10.4宣言に至る過程を「自民族の運命を『わが民族同士』力を合わせて自らが切り開き、平和統一を成し遂げようとする21世紀の朝鮮民族史を特徴づけた」と評した。そして、李明博政権がそれらを反故にして、一挙に米・南同盟強化に傾いた結果、北とのパイプを失い、金泳三時代のような「通米封南」の悪夢に苦しみ、米国産牛肉輸入に反対する国民的反発に直面していると指摘した。

 さらに同氏は南と日本はしばらく、米国の従属変数として朝米関係と6者会談の進展に引きづられながら、政策転換を余儀なくされていくだろうと述べた。

 続いて報告したエバンス氏は、今春のニューヨークフィルの平壌公演実現の立役者であると紹介された。同氏は現在進行中の米朝会談と6者会談について「われわれは期待と展望に満ちた複雑なプロセスの上にいる」と指摘しながら、対北政策転換まで、ブッシュ政権が北を「こっぴどくやっつけようとした」ことに言及。同氏は「この政策の遠回り」は北朝鮮を「悪魔」として描いて孤立させ、外交の道具としてのインセンティブの活用を躊躇させ、金正日国防委員長とオルブライト国務長官との対話に至る米朝間の何百時間もの困難な交渉を経て確立された基本的な理解を破壊、「歴史は米国の大きな戦略的誤りとして判断するだろうと確信する」と指摘した。

 岩國氏は日本に戻るまでの20年間、ロンドン、パリ、ニューヨークで暮らしながら、アジアの文化の共通性を実感してきたと述べ、日本は朝鮮半島からたくさんの文化の恩恵を受けたと指摘、これからは、競争ではなく、仲良く、豊かな平和な関係を構築していくべきだと語った。(朴日粉記者)

[朝鮮新報 2008.6.9]