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南の統一部が訪北「不許可通報」、民間交流も凍結の危険

 今年2月の李明博政権発足以来、北南当局関係は凍結状態にあるが、活発だった民間交流さえも中断の危険にさらされている。南朝鮮統一部は7月23日、8月に予定している訪北交流事業をやめるようとの勧告を各民間団体に一方的に通報した。通報を受けたのは、6.15共同宣言実践南側委員会青年学生本部、全国教職員労働組合、全国民主労働組合総連盟、韓国労働組合総連盟などだ。8月中旬にそれぞれ100人を超す規模での4〜5日間の訪北を予定している。

政策転換を要求

 南のインターネット新聞・統一ニュースによると、統一部の関係者はこれら民間団体の実務者に電話をかけ、「平壌訪問と一連の行事は現情勢下では難しい」「状況が良くないので8月に大規模で訪問しないほうがいいというのが政府の意見だ」などと話したという。

 民間団体はこれを「事実上の訪北不許可通報」だと反発しながら、李明博政権の対北政策を非難している。

 6.15共同宣言実践南側委員会は7月28日、声明を発表し、李政権の対北政策の全面的な転換を要求。声明は、「南北関係の膠着状態が続いているのに政府が問題解決に逆行する措置を引き続き取っていることに憂慮を禁じえない」としながら、「当局関係の中断を理由に民間交流までも統制しようとする政府の態度は納得できない」と指摘した。

 これに先立ち、23日には6.15南側委員会の青年学生本部が、24日には同言論本部がそれぞれ南政府を糾弾する声明を発表した。

反統一的措置

 統一部の今回の措置は、北の政党との交流を推し進めている民主労働党にも及んだ。

 同党は、今月下旬に60人規模の代表団を北に派遣し、朝鮮社会民主党とともに「6.15共同宣言と10.4宣言履行のための政党、政治家の役割」をテーマに討論会を開催、白頭山共同登山も予定している。

 同党のファン・ソン自主平和統一委員長は7月23日、統一部から訪北を取り止めるよう「勧告」を受けた事実に言及しながら、「情勢を理由に政党間の交流を遮断するのは、退路をふさぐこと」だと非難した。

 統一部の「勧告」を受けた民主労働党と3つの民間団体は7月25日、ソウルの統一部庁舎前で記者会見を行い、「純粋な民間交流さえも押さえつけるのは反民族的、反統一的措置だ」としながら、南北民間交流の保障を要求した。

 参加者らは、民間交流における統一部の役割について強調し、「6.15共同宣言を尊重し履行するという立場を明確にすべき」だと促した。

「名を変えただけ」

 統一部は7月31日、李明博政権の対北政策のキャッチフレーズを「相生と共栄」と発表した。相互主義を前提に「民族全体の幸福を願う」としているが、6.15、10.4に対する言及もなければ、具体的な内容や提案も見当たらない。

 統一ニュースによると、政府関係者からも「非核・開放・3000」から「相生と共栄」に名称を変えただけ、という声が上がっているという。

 李明博政権の反統一的な立場は最近、さらにはっきりと示されている。

 李明博政権は、東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)閣僚会議(7月24日、シンガポール)の議長声明に言及された10.4宣言支持の内容を削除するよう要請したという。これに先立って国会での施政演説で10.4宣言履行問題を北と論議できるとしたが、この発言を国際舞台の公の場で否定したことになる。

 また、民間交流を妨げるだけでなく、南北協力事業を行うため南当局の承認を得た団体や個人に対しても統制を強化していくという。

 このような事実は、「相生と共栄」政策は名ばかりで、李明博政権の反統一政策の本質は何ら変化がないということを物語っている。(呉陽希記者)

[朝鮮新報 2008.8.6]