李明博政権 民間統一勢力弾圧に狂奔 |
「6.15」実践は「親北利敵」行為 国家情報院(国情院)、警察、検察などの南朝鮮公安当局は9月30日、6.15共同宣言実践、10.4宣言履行の先頭に立ってきた民間団体、南北共同宣言実践連帯(以下、実践連帯)を「親北利敵団体」に規定し、同団体幹部4人を「国家保安法」違反、「利敵団体構成」の容疑で逮捕した。両宣言の存在を白紙に戻そうとする、李明博政権による本格的な統一勢力に対する弾圧に民間統一運動団体は危機感を募らせ、非難の声を強めている。 「大弾圧の始まり」
実践連帯は、6.15共同宣言履行に向け民間レベルの統一運動を推進していくことを目的に2000年10月に各階層の市民によって結成された。これまで、平壌やソウルなどで開催された北南共催の統一行事に参加し、民間交流事業、さらに南朝鮮駐屯米軍の撤退を求める運動などを繰り広げてきた。2006年からは、政府の非営利団体補助金を受給している。 公安当局は、実践連帯の4人に対し、北側の体制に同調した「利敵団体」を構成し、インターネット上で同連帯が運営する6.15TVを通じて北側メディアの報道を転載、関連資料を公開するなど、「国家保安法第7条(称賛など)」に違反したとの容疑をかけた。 そして27日午前、ソウル特別市城北区三仙洞にある同連帯の事務室と京畿、釜山、光州、済州などの地方支部、付属の韓国民権研究所、6.15TVと6.15出版社の事務室、幹部自宅など24カ所に対して家宅捜索を行い、同連帯の幹部5人に対する逮捕状を申請し、4人を逮捕した。 公安当局は、同連帯の幹部が2004年12月に北京で北側の民族和解協議会と会談を行った際に指令を受け、ホームページの会員専用掲示板を通じて情報を共有、ドイツ在住の北側工作員とされる人物から電子メールで労働新聞などに掲載された記事の内容を受け取っていたと説明した。 これについて、同連帯の弁護を担当しているソル・チャンイク弁護士は、北京での接触は統一部の許可を受けたものだと指摘、「北京会談のメモ」「ベルリンからの電子メール」などは事実無根だと明らかにした。 また、公安当局が「違法資料」を共有し非合法組織を運営した根拠として挙げているホームページの会員専用掲示板についても「掲示板では会員同士が自由な意見を交わしている」と主張した。 実践連帯は今回の事件に対し、李政権が6.15共同宣言の実践に積極的な統一団体を弾圧したことは同宣言を破棄しようとする意図を示したものだと強調。常任代表のキム・スンギョ弁護士は、「統一運動と運動陣営に対する大々的な弾圧の始まり」だと指摘した。そして「6.15共同宣言を実践しようとする団体が『利敵団体』になるのなら、同宣言の行く末は明らかだ」と非難し、「家宅捜索と幹部連行に屈さず団体の存続をかけてたたかっていく」と決意を明らかにした。 野党、市民が反発 李明博政権は数カ月前から、米国産牛肉の輸入に反対し、集会、デモを呼びかけた狂牛病対策委員会指導部に対する逮捕状を請求するなど、反政府・統一勢力に対する弾圧を強めてきた。 8月26日、「社会主義労働者連合」の活動家7人を「国家保安法」容疑で逮捕。 また、韓国青年団体協議会の「利敵団体構成」容疑に対する控訴審を7月24日、約2年ぶりに再開させた。こうしたなか、今回合法組織への家宅捜索が行われ、逮捕状が執行された。近年ではなかったことだ。 統一ニュースによると、「国家保安法廃止国民連帯」などの市民団体は29日、ソウル市内の国情院庁舎前で強制捜索を糾弾する記者会見を行い「キャンドルデモに対する報復で時代錯誤的な公安事件の復活」だと強く非難した。 一方、民主労働党は30日、公安弾圧に反対する党決議大会を催し、今回の事件について「統一団体など進歩陣営に対する公安の活動が本格化した」と指摘した。すでに対策委員会を設置し、弾圧事件の真相調査団を立ち上げることを決めた。 また、28日には民主党、民主労働党、創造韓国党などの野党代表が会合を開き、公安弾圧、南北関係問題に共同対応していくことを決めた。 民主党のキム・ユジョンスポークスマンは、「実践連帯幹部の検挙に『国家保安法』容疑を適用したことは、(南北)当局間対話がない中、凍結した南北関係をさらに悪化させる恐れがある。政権維持のために民間レベルの統一運動まで弾圧するもの」(28日)だと批判し撤回を求めた。民主労働党のリ・ヨンスン議員は、「統一団体に対する弾圧は6.15、10.4宣言を破棄しようとする反統一的、反歴史的な行為」だと非難し、即時中止するよう求めた。(呉陽希記者) [朝鮮新報 2008.10.3] |