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6.15、10.4宣言を認めよ、南で論議加熱 李政権に厳しい批判

「いまこそ対北政策変更を」

 「北南関係の全面遮断を含む重大決断を下さざるをえない」とする労働新聞評論員の記事の発表(16日)を機に、南朝鮮では李明博大統領の対北政策に対する議論が熱をおびている。北側の非難に静観の構えを見せている与党側に対して、野党側は北との対決姿勢を改めるよう厳しい意見を突きつけている。

深刻に受け止め

統一運動団体への弾圧は大きな反発を招いている [写真=統一ニュース]

 李明博政権の政策に対する立場を表明した労働新聞評論員の記事が発表されたのは、4月1日、5月30日に続いて今回が3回目。野党各党は、北側が李政権の政策を以前より、いっそう厳しい論調で非難している事実を深刻に受け止めている。

 民主党スポークスマンは、論評について「李政権に対する北からの問題提起で、今からでも政策の基調を変えれば対話ができるとの信号」だとしながら、関係改善に迅速に努めるべきだと主張した。

 民主労働党も「朝鮮半島の平和定着は民族的課題で、即時に関係改善に取り組むべきだ」と主張した。

 また、自由先進党は「対北政策をまともに立てなかったことに問題がある」と、現政権の政策を批判した。

 対北政策の変更を求める野党の反応は、単に労働新聞の論調が従来になく強いトーンであったためだけではない。

 李政権の対北政策に、構造的な問題点が存在しているからだ。

 それは、米国が朝鮮を「テロ支援国」リストから削除すると発表(11日)した際の対応にもあらわれた。

 朝米関係が動く中、対北政策を見直すよう求める声が高まったが、南側政府は「まだ何の検討も行っていない」(外交通商部報道官、13日)状況。その一方で、民間の統一運動団体への弾圧を強めた。現政権に北南関係を改善させる意思があるのか、という懸念を抱かせていた。

金元大統領が提言

 北南関係が悪化の一途をたどる中、何の手立ても取らない李大統領に、金大中元大統領が6.15、10.4宣言の認定を強くせまった。

 1日にも盧武鉉前大統領が10.4宣言発表1周年に際して李政権に対北政策の見直しを求めた。

 金元大統領は16日、韓神大学の「平和と公共性センター」創立式での講演で、「今の政府は南北対話を開けず国際的な流れから疎外されている」と述べながら、「李明博大統領は結局は北と対話する。6.15、10.4宣言を認めざるをえない」と強調した。

 また、南北対話がすぐに再開されなければ孤立と損失を免れないと強調したうえで、▼南北首脳宣言の認定▼人道的コメ支援の早期再開▼開城工業地区労働者宿所の予定通りの建設▼金剛山観光の再開▼北への南北首脳会談提案を決断すべきだと促した。

 その一方で、「李承晩、朴正煕、全斗換独裁が国民の力の前で崩壊したように、国民は今後も民主主義を固く守っていくと確信する」とも語り、統一団体への弾圧強化、教科書改ざんなど李大統領が行っている「過去への逆走」を批判した。

安易な情勢認識

 しかし、今のところ政権与党には自分たちを取り巻く情勢に対する判断が欠如しているようだ。

 与党ハンナラ党は、労働新聞論評の内容を検討することもなく、むしろ北が「6.15と10.4宣言に違反しながら南北関係進展を阻んできた」と強弁しながら、北批判を繰り返すことに終始した。

 また、北南関係を統括する統一部の金浩年報道官は16日、労働新聞論評が「重大決断」を予告したにもかかわらず、「評論員の記事とは(北)政府が内外に対して発表する公式立場ではない」と、まったくピントはずれな見解を述べた。

 評論員の記事は、北の公式立場を表明したものであり、この警告は決して軽く扱える事案ではない、というのが一般的な見方だ。

 それだけに、政権側のこのような安易な認識と情勢判断に、憂慮の声が絶えない。

 民族和解協力汎国民協議会(民和協)のリ・スンファン政策委員長は、「当局は深刻に考えるべきだ」と指摘しながら、「6.15と10.4の両宣言に対してあいまいな態度を取り続けるのではなく、明らかな継承の立場を表明するのが何よりも大事であり、至急の課題」だと促した。

 韓国進歩連帯のハン・チュンモク共同運営委員長は、「南北関係はとても危険な状況に陥ってしまう」と強調、宣言の支持と履行の立場表明を李政権にあらためて求めた。(姜イルク記者)

[朝鮮新報 2008.10.22]