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東京−平壌友好交流会議訪朝団 「隣国の発展、実感した日々」

「現状に風穴を開ける活動を」

 【平壌発=李相英記者】東京−平壌友好交流会議訪朝団(8人、団長=座光寺成夫・自治労東京都本部副中央執行委員長)が11日から15日まで平壌を訪れた。4泊5日という短い滞在だったが、平壌と地方の各地で変貌する朝鮮の姿を目の当たりにした一行は、隣国との関係改善と友好親善に向けた決意を新たにしていた。

自分の目で確認

平壌3.26電線工場を見学する一行(14日)

 一行は朝鮮滞在期間中、万景台をはじめとする平壌市内の各所を参観し、開城や板門店、沙里院嵋谷協同農場なども訪れた。訪朝団メンバーらは平壌3.26電線工場や牡丹峰第1中学校を訪問し、朝鮮の生産、教育の実情を自分の目で確かめた。

 また、対外文化連絡協会や朝鮮職業総同盟中央委員会など朝鮮側の関係団体も表敬訪問した。

 東京−平壌友好交流会議は日朝間の友好と交流に向けて活動する地域の諸団体、個人の集まりで、今回の訪朝団は市民団体、東京平和運動センターのメンバーが中心となって構成された。

 同センターの議長も務める訪朝団の座光寺団長は今回が初めての訪朝。「日朝の情勢が混迷の度合いを深める中で、市民運動や民間レベルから関係改善のきっかけを何とかして作らなければ、という思いが訪朝につながった」と話す。

人々の明るい表情

 14日、一行は平壌市内にある平壌3.26電線工場を訪ねた。同工場は現代化のモデル単位として全国的にも有名だ。ケーブルの生産工程を見て回ったメンバーらは口々に「技術力の高さ」を評価していた。

 また、「労働者の勤勉さ」を特徴として挙げ、「質の高い労働力は経済発展に不可欠な要素」だと指摘する声もあった。

 地域のボランティア団体に属し市民運動に従事しているという五井史子さんは3度目の訪朝だが、「来るたびに国の発展を肌で感じる」と感想を述べた。

 「5年前に初めて訪問した時は、まだどこか暗さがあったが、今回は行く先々で活気にあふれる人びとや街並みを見ることができた」と五井さん。また、印象に残ったこととして「生き生きとした若者の姿」を挙げ、「日本とは違って本当にすばらしいこと」と話した。

 「建設ラッシュが続く平壌の姿が印象深かった。人びとの表情も明るい」と話すのは02年以来、2度目の訪問だという関久さん。

 「沙里院の農場も訪れたが、農業に力を注いでいることがよく理解できた。日本では食糧難などと報じられているが、今年の農作はうまくいっているとの印象を受けた」

メディアの歪曲報道

 関さんが事務局長を務める東京平和運動センターは、駐日米軍基地の撤退やミサイル防衛システム導入反対運動など護憲を掲げた平和運動を積極的に展開している。

 朝鮮問題についても東北アジア地域の平和と安定、友好という観点から、日本政府の対朝鮮制裁措置に対する抗議活動や要請行動、朝鮮学校に対する支援などに取り組んできた。

 関事務局長は朝鮮問題に関する現状で最も憂慮すべき点について、「朝鮮に対する正確な事実がメディアを通じて伝わっていないこと」だと指摘する。

 「植民地支配や強制連行、『従軍慰安婦』など歴史認識の問題でも、政治家の暴言とあいまってゆがんだ朝鮮観が増幅されている。この状況を何とかすべきだ」

 一行の訪朝直前の10日、日本政府は4度目となる対朝鮮制裁措置の延長を閣議決定した。

 訪朝団のメンバーらは、日朝関係をさらに悪化させる今回の措置について一様に憂慮を示していた。同時に、このような時期だからこそ、現状に風穴を開けるための活動を民間レベルで模索していくべきだとの声も聞かれた。

 座光寺団長は、「国交正常化推進運動や地元での日朝交流の活性化など、現場でできることからしっかり行っていきたい」と話した。

[朝鮮新報 2008.10.24]