日朝友好兵庫県民の会 結成後 初の訪朝をステップに |
地元発の民間交流、幅広く促進 【平壌発=李相英記者】「日朝友好兵庫県民の会」訪朝団(団長=杉田哲・同会幹事長)が11〜15日まで朝鮮を訪問した。同会は県下の広範な団体、個人が参加し今年5月に結成。今回が初の訪朝となった。 大きな変化実感
訪朝団は「兵庫県民の会」に参加する各団体の代表らで構成された。8人の日本人メンバー中、5人が初訪朝だった。 4泊5日の滞在期間、一行は平壌市内の各所を参観し、西海閘門、開城、板門店、嵋谷協同農場(沙里院市)なども訪れた。 神戸市教職員組合の書記次長を務める森信介さんは、「朝鮮については未知の部分が多かったので、正直、怖い国というイメージも少しはあった」そうだが、「訪れてみると自分が抱いていた想像とはだいぶ違った」と話す。「平壌は街中が建設ラッシュで、農業の発展にも力を注いでいた。活気がありながらも、どこか牧歌的な雰囲気が残っているのが印象的だった。人々の表情も明るかった」。 神戸バイブルハウス常務理事で牧師の岩村義雄さんも今回が初めての訪朝。「人びとは勤勉で道徳心も高い。とくに、子どもたちの屈託のない笑顔がよかった」と顔をほころばせた。一方で、「侵略の歴史がいまだ清算されていない中で、『石を投げられても仕方がない』という覚悟で訪問したが、朝鮮側は温かく迎えてくれた。憎悪の哲学ではない寛容の精神を感じた」と語った。 14日、一行は市内の牡丹峰第1中学校を訪れた。授業風景や学校の設備などをつぶさに見て回り、生徒らの芸術公演も観覧した。 参観を終えた杉田団長は、「教育を国家建設の基本にすえて、民族や伝統といった価値を大事にする姿勢が見てとれた」と感想を述べた。10年ぶり5回目の訪朝だという杉田団長。朝鮮の印象について、「開城の工業団地や北と南をつなぐ鉄道など、未来を見据えた全体的な発展を目指していると感じた。10年間で大きく変わった」と感慨深げだった。 岩村牧師も、「教育に自主性、創造性、科学性が具現されていて、授業内容のレベルも高い」と感心した様子だった。また、「生徒たちから国の建設に貢献しようとする目的意識がはっきりとうかがえた」と指摘した。 運動の再活性化を さる5月17日に結成総会を開いた「兵庫県民の会」は、日本と朝鮮との友好促進と早期の国交正常化のために諸分野の民間交流を推進するとともに、多文化共生を目指し県下の日朝友好親善を深めることを目的としている。 同会には自治労や県職員組合、超党派の地方自治体議員、学者、文化人など県下の諸団体と個人が幅広く参加。セミナーや講演会、歴史・文化交流イベントの開催、朝鮮学校訪問、署名運動、会報の発行など両国関係の改善と地域の朝・日友好親善に向けたさまざまな活動を展開している。 兵庫には、日朝友好運動の長い伝統がある。諸般の事情で活動が停滞気味の時期もあったというが、元県会議員の杉田哲団長らが総連側と協力して運動の再活性化に取り組んだ。そして超党派の政治家も含めた各階層を網羅する県レベルの日朝友好組織の結成にこぎつけた。 核問題をめぐる朝鮮半島情勢が再び進展の兆しを見せる一方で、朝・日関係は先行き不透明な状況が続いている。今回の訪朝直前、日本政府による対朝鮮制裁措置の4度目の延長が閣議決定された。 77歳になる新社会党加東支部の友井公一さんは今回、9回目の訪朝を果たした。「このような時期だからこそ友好親善、相互理解に務めるべきだ」。 地元で強制連行や「従軍慰安婦」問題などに関する調査活動も行っている友井さんは、「朝鮮側からは10回目の訪問を勧められているが、10回といわず何度でも訪朝したい」と話した。 メンバーらは今回の訪朝を機に「日朝友好親善運動の更なるステップアップを」と意気込む。 同会では兵庫県内における朝鮮通信使の足跡をたどる旅をはじめ、今後もさまざまな活動を計画している。杉田団長は、「結成されて5カ月足らず。規模は決して大きいとは言えないが、まず何よりも県下の幅広い層が参加する会にすることが重要だと感じている。今後も兵庫の日朝友好運動を盛り立てるべく取り組んでいきたい」と抱負を語った。 [朝鮮新報 2008.10.27] |