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日朝友好運動 揺るぎない連帯の形成を

現状打開、各地で地道な活動

 日朝友好、国交正常化を目指し日本各地で繰り広げられている市民レベルの運動。6者会談の進展など朝鮮半島情勢は好転の兆しを見せているが、日本政府の対朝鮮敵視政策は依然と続いている。今、現場では今後の変化を見据えつつ過去数年間の経験に根ざした「揺るぎない運動」を形成するための動きがいつになく高まっている。

団体再建、設立

各地の運動状況を報告し、今後の課題について意見を交わす市民運動家ら

 日朝友好、国交正常化を目指す運動は2002年以降停滞を余儀なくされた。

 先月24、25の両日、朝鮮統一支持運動第26回全国大会に参加するため大阪に集まった日本市民らは、「目立った運動に取り組めなかった」「休眠状態だった」などと、厳しかった現実について語った。運動拡大につながる支持者を獲得するどころではなく、運動自体を存続させることが困難だった。

 しかし、最近そのような状況が好転しはじめた。

 今年5月、福岡で福岡県日朝友好協会、兵庫で日朝友好兵庫県民の会が設立された。両団体ともに県内で日朝友好の大きなうねりを形成し、県レベルで運動を展開していくことが目的だ。

 愛知でもここ数年活動休止状態にあった日朝教育・文化交流をすすめる愛知の会が本来の活動を再開した。

 運動団体の再建、団体発足など各地で運動が再び盛り上がりはじめたことについて、朝鮮の自主的平和統一支持日本委員会(以下、日本委員会)の中小路清雄事務局長は、今が「大きな実り」を結べるかどうか重要な時期だと指摘しながら「このチャンスを全国的な運動を展開するきっかけにしたい」と意気込む。

敵視政策の限界

 現在、各地では民族教育支援、在日朝鮮人との交流、訪朝団派遣、日朝友好団体の組織化、地方議員との共同作業、朝鮮への物資支援、文化交流、強制連行真相調査、そして草の根レベルでの学習会や講演会などが行われている。

 朝鮮の自主的平和統一を支持する長野県民会議の伊藤晃二さんは、「より幅広い階層と連帯するべきだ」と、運動の「大衆化」を主張する。県民に日朝運動の存在を知らせ、多くの人に関わってもらおうと4月から長野朝鮮初中級学校にスクールバスを寄贈するための「200円カンパ」運動を開始した。「200円という金額に価値を見出して理解を求めたい」。11月末が締め切りだが好意的な反響が多く、すでに目標達成が見込まれているという。

 中小路さんは「実際、拉致問題が発覚したとき、運動は逆風にさらされた。しかしそのような状況がしだいに薄れつつある」と話す。「日本国内で対朝鮮政策の虚構がはがれてきた。拉致問題だけを取り上げてそれをすべての朝鮮問題にかぶせるのはもはや限界にきている」。

正当性を信じて

 06年に設立された日朝国交正常化の早期実現を求める市民連帯・大阪(以下、市民連帯・大阪)では毎月、定例学習会を開いている。「学習会をするたび、日本人として顔もあげられないような恥ずべき事実を目の当たりにする。在日朝鮮人の人たちと向き合って行動することは胸が引き裂かれるほどつらいこと」だと語るのは市民連帯・大阪共同代表の永久睦子さん。

 それでも、永久さんが日朝問題に正面から向き合い運動を続けるのは「加害の痛みをひきずるつらさを、次の世代に残したくない」からだ。

 「100年前から日本に染み付いている朝鮮に対する蔑視の思想を払拭するのは容易ではない。骨は折れるが、一人ひとりに語りかけて仲間を増やしていきたい」と永久さんは語る。

 花輪不二男・日本委員会代表委員は今後の課題について「朝鮮に対する認識や朝鮮観をきちんともった市民レベルのグループを作っていくこと」だと指摘する。過去の教訓をふまえ、情勢の変化に一喜一憂することなく連帯運動を形成していくことが目下の課題だ。

 日朝友好運動を活性化させる「特効薬」はないと彼らは口をそろえる。勉強会や講演会などを通して疑問に答え、一人ひとりに語りかけていく地道な取り組みが揺るぎない運動を作っていくという。

 「日本の対朝鮮政策に警鐘を鳴らし、運動を繰り広げたきた人たちは活動の正当性を確信している」(加来洋八郎市民連帯・大阪共同代表)

 地域から発信する草の根運動を、さらに全国へと拡大していくうえで解決すべき問題は山積している。しかし、現状を打開しようとする人びとの実践は始まっている。(呉陽希記者)

[朝鮮新報 2008.11.5]