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〈担当記者座談会 08年を振り返る-中-〉 外交

首脳、高官の接触続いた朝中
朝ロ、「鉄のシルクロード」に着手
各国との投資、合弁が活発に

伝統的な友好強化

朝中親善の象徴である友諠塔で北京オリンピックの聖火をつなぐ、劉暁明駐朝中国大使(右)と4.25体育団のソ・キルサン選手

 A 朝中関係は例年同様、「伝統的な友好関係」が強調され、高官レベルの接触が相次いだ。とくに、中国共産党中央委員会の王家瑞対外連絡部長(1月)、習近平副主席(6月)の訪朝、朴宜春外相(4月)、金永南最高人民会議常任委員会委員長(8月)の訪中が注目を集めた。

 C 金正日総書記は、王家瑞部長、習近平副主席とそれぞれ会見した。3月1日には駐朝中国大使館を訪問している。ちなみに、総書記が今年会見した海外要人はすべて中国の党、政府高官だった。

 B 中国側は今年が中朝関係において「特別な年」(9月27日、劉暁明駐朝中国大使)だと指摘している。金正日総書記と胡錦濤主席が数回にわたり口頭親書を交換したことも明らかになった。

 A 北京五輪の聖火リレーが行われたことも印象的だった。朝鮮では初めてのことだった。各国のリレーでは一部で妨害騒動が起きた。

 C 朝鮮はこれを断固糾弾し、聖火リレーを積極的に支持した。実際、平壌のリレーは「もっともすばらしい行事」(劉大使)だと評価された。

 B 台湾やチベット問題についても中国と立場をともにしている。また、今年5月に発生した中国・四川省大地震の際には、復興支援として10万ドルの資金を提供した。

 C そのほかにも経済、文化、教育、科学技術、スポーツ、出版報道など多岐にわたり交流や協力事業が展開された。4月から中国各地で巡回公演が行われた朝鮮の歌劇「花を売る乙女」は大きな反響を巻き起こした。軍事部門でも交流と協力関係が強調されている。

 A 来年、朝中は外交関係樹立60周年を迎える。両国は09年を「朝中親善年」と定めており、交流、協力関係、国際舞台での緊密な協調関係もさらに強化されるだろう。

経済協力が本格化

 A 10月4日、朝ロの協力事業である羅津−ハッサン区間鉄道および羅津港の現代化事業の着工式が行われた。両国首脳が01年に採択したモスクワ宣言第6項に示された事業だ。

 B この事業は「鉄のシルクロード」とも呼ばれる。将来的に朝鮮とロシア、そしてヨーロッパを連結するユーラシア横断鉄道網を構築するための重要な事業で、国際的な注目を集めている。

 C 朝鮮側は「朝ロ両国の共同の発展と利益にかなう大規模協力実現の第1歩」(全吉洙鉄道相)と意義づけている。同事業を通じて、鉄道と港湾施設という中心的なインフラが整備され、物流が活発になれば、経済貿易地帯に指定されている羅先の国際輸送中継地としての地位は確立されるだろう。さらに、それによる経済効果のみならず、海外企業の大規模進出も見込める。

 B ロシア鉄道側によると、数年後には鉄道改修工事を完了させ、2011年に年間貨物輸送量をコンテナベースで3万5000、12年には7万、13年からは10万個にまでアップさせる計画だという。羅津港現代化事業は3段階に分けて行われる。当面の第1段階は2010年10月末までの完了を目標にしている。

 A 朝ロは今年、外交関係設定60周年を迎えた。今回の着工式を契機に両国の協力事業は本格的に動き出し、政治、経済的な結びつきもよりいっそう強まるだろう。10月には朴宜春外相が、11月には最高人民会議の崔泰福議長が訪ロしている。

 C 朴外相とラブロフ外相は会談で、朝ロ親善・協力関係をいっそう強化、発展させることと、相互の関心事となる一連の国際問題について意見を交換した。朝鮮外務省とロシア外務省の2009〜2010年交流計画書もあわせて調印された。崔泰福議長もロシア連邦議会(上院)のセルゲイ・ミロノフ議長と会談し、両国の親善・協力関係をいっそう発展させることと相互の関心事となる問題について意見を交換した。

中東、アジア外交

 A 今年は、中ロはもとより、中東やアジア各国との関係も目立った。シンガポール外相、ミャンマー外相、イラン外相などが訪朝した。

 B とくに、ミャンマー外相は昨年4月の外交関係再開後初めての訪問だった。また、外交関係のないフランス外務省代表団の訪朝は、今後の関係進展を予感させるものだった。

 C 金永南委員長は、ナミビア、アンゴラ、コンゴ、ウガンダを公式親善訪問した。そのほか、政府レベルの代表団も活発に海外を訪問した。

 A 外国との投資協定締結なども目についた。

 C 政府レベルでは、朝鮮都市経営省とクウェート・アラブ経済開発基金(KFAED)間の協力に関する合意書が調印された。KFAEDはクウェート政府の対外援助機関。双方の協定は02年にも調印され、03年8月から始まった平壌市の上水道改修工事を支援した。10月には、両国政府間の航空路に関する協定も結ばれている。

 B 民間ではエジプトやフランス企業の進出が目立った。12月15日から始まった第3世代(3G)移動通信サービスは、朝鮮逓信会社とエジプトの通信会社オラスコム・テレコムが手を結んだ。朝鮮側は今年1月、同社に最大25年間サービスを提供できる事業権を与えた。また16日には、朝鮮貿易銀行が同社とオラ銀行を設立した。さらに、同社の建設分野への参入も伝えられている。

 C 祥元セメント連合企業所は現在、セメント世界最大手の仏ラファージュ社と合弁し、2010年を目標に、設備更新計画を推進している。ラファージュ社は昨年12月、当初契約を締結したオラスコム・コンストラクション・インダストリーズを買収した。朝鮮貿易省によると現在、外国企業との鉱山開発、発電所改造、鉄鋼生産、パルプ製造など一連の大規模な協力事業が進められている。建材工業部門では祥原セメント以外にも70年代に建てられた順川セメント連合企業所(平安南道)の現代化が計画されているという。

 B 毎年春季と秋季に国際商品展が開催されているが、今年は例年以上に盛況を博した。とくに、欧州企業の関心が前にも増して高まっている。

 A 今年の上半期、米国の「テロ支援国家」指定解除に向けた動きが本格化した頃から、朝鮮に対する各国企業の投資意欲が目立った。今後、朝米関係が改善に向かうと、このような動きがさらに活発化することが予想される。(呉陽希記者)

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[朝鮮新報 2008.12.19]