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金剛山歌劇団公演 絶賛のソウル市民

朝鮮舞踊50年 北の名舞

 金剛山歌劇団舞踊団(李龍秀団長)のソウル公演「朝鮮舞踊50年、北の名舞」が昨年12月22〜24日の3日間、市内瑞草区にある国立国楽院礼楽堂で開かれ、会場いっぱいに詰めかけた2500人(3回)の観客を魅了した。同公演はARTtv、民族21、ソウル音盤などが主催、統一部、国会議員の姜恵淑さん、韓国文化芸術委員会、国立国楽院が後援した。また、24日昼、一行は奉恩寺の明真住職(曹渓宗民族共同体推進本部長)を表敬訪問した後、インターコンチネンタルホテルで盛大に開かれた同住職主催の昼食会に出席した。寺側関係者をはじめ今公演開催に尽力した約150人が出席し、雰囲気を盛り上げた。

ソウル市民からコミカルでかわいいと好評だった舞踊「りんごの豊作」

 3日間の公演は、4日間のクリスマス休暇中に開かれた。街は華やかなツリーや美しいイルミネーションで装われていた。劇場は南の古典芸術の殿堂といわれ、公演チケットの特別席は7万ウォンという高値だったが、即日完売する人気ぶり。公演は初日が18時から、2日目、3日目は17時から開演した。零下3度の底冷えのなか、観客たちは開演1時間ほど前から続々劇場入り。劇場には歌劇団の特大の垂れ幕が飾られ、観客の目を引いていた。

 午後4時頃、ロビーに流されていた歌劇団のCDのチャンセナプの響きに耳を傾けている女性たちがいた。市内江北区からきたという鄭映熹さん(33)と棉さん(30)姉妹。姉はデザイナー、妹は英語学院の講師という。

 「クラリネットとも違う初めて聴く音色。優しくて、艶があって、耳に心地よくて…。目を瞑ると黄金の稲穂が波打つ風景が思い浮かんで何だか懐かしくて涙が出そうになった」と棉さん。インターネットで公演があることを知り、妹を誘って来たと話す。

 公演プログラムの売り場にも人だかり。3日間で約2百冊が売れたという。初日に並んでいた小学生時代からの仲良し3人組、金淑子さん、朴順善さん、呂慶美さんは共に63歳。娘にチケットをプレゼントされた朴さんが2人を誘って仁鶴から約一時間半をかけて地下鉄とバスを乗り継いできたという。3人は、初めての歌劇団公演に期待を膨らませながら、「初めてなので、家に落ち着いていられず、会場に早く来てしまった」と照れた。朴さんは、「南北が互いに仲良くしていくことが一番大事なこと。統一はいま夢ではなくなった。10月の首脳会談後、初の交流となる公演に胸が高鳴っているが、これからは何度でも来てほしい」と興奮気味に語った。

客席から感嘆の声

公演後、出演者によるサイン会には多くのファンが押し寄せた

 18時、いよいよ開演。今舞踊公演のテーマは「朝鮮舞踊50年、北の名舞」。第1部は文字通り北で生まれた7作品を、第2部はチャンセナプ独奏を含む在日の創作家によって紡ぎだされた8作品を上演する2部構成。

 第1部の「金剛仙女」で幕が上がると、場内には「ウォー」というどよめきが広がった。第2部は06年の初演以来、各地で好評を博す「高麗3神仏の舞」で開いた。鐘の音で始まる荘厳な音楽、舞台背景に描かれた仏教美術の華麗さと舞姫たちの静謐な舞いに「ワァー、きれいね」というささやきがさざなみのように客席に広がっていった。

 さらに、民族学校に通う女子学生たちを標的にしたチョゴリ切り裂き事件を舞踊化した「愛するチマ・チョゴリ」の熱演(金瑜里主演)を固唾を呑んで見守る客席からは怒りと悲痛の嗚咽がもれた。ハンカチで何度も目頭を拭う光景も。

 客席を魅了したのは、チャンセナプ独奏の「青山里の豊作」、アンコール曲「アメージンググレイス」。アリランとのコラボレーションという独創的な感性と豊かな伝統音楽の表現に客席からは感嘆の声、ブラボーの声が飛んだ。終演の「ハナ」まで息もつかせぬ舞台に観客は最後まで釘づけになっていた。

 また、2日目の公演を李在禎統一部長官が夫人、そして関係者20余人とともに観覧した。公演後、舞台裏で「関係者らの尽力によって、公演が大成功裏に終えたことをまず喜びたい」と出演者らをねぎらいながら次のように語った。

 「今日の公演の1部は、北が発展させた豊かな文化芸術の極致を披露したものだ。それぞれのアーティストの個性が引き出された見事な舞台であったと思う。独創的で繊細でリズミカルな北の舞踊の美しさを余すところなく堪能できた。第2部では、在日の創作家の作品が紹介された。北から受け継いだものをより現代的に磨いた豊かなセンスに魅了された。結局、伝統芸術というものは、新しい表現法と解釈によって、新しい命を吹き込まれ、継承発展されていくものだと実感した。今後もより深く芸術性と表現法を磨いて、ますます活躍してほしい」と若い舞踊手たちにエールを送っていた。(文=朴日粉記者、写真=南の月刊誌「民族21」柳洙記者提供)

[朝鮮新報 2008.1.7]