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〈第30回在日朝鮮学生「コッソンイ」作文コンクール〉 1030点の応募作品

学校生活、家族、祖国訪問… 朝鮮語で生き生きと生活を表現

 本社主催の在日朝鮮学生「コッソンイ」作文コンクールが昨年、30回を迎えた。

 「コッソンイ」は朝鮮学校に通う児童、生徒たちを対象にした唯一の朝鮮語の作文コンクール。応募資格は朝鮮学校の初級部3年生以上高級部までで、テーマは自由。審査は初・中級部は学年ごと、高級部は1〜3年一緒に、それぞれ散文と韻文(詩)の部門別に行われる(初3は散文のみ)。

 今回は散文644編、韻文386編、合計1030の応募作品の中から、1等作品12編を含む80編が入選した。



熱心に朝鮮語を学ぶ子どもたち

 初3部門1等に輝いた朴智南さん(京都第2初級)の作品「わが家のチョソン」は、何気ない日常の中で「民族的なもの」を探す体験を通じて、在日の子どもが自分の家庭と学校、北南朝鮮、民族とのつながりを身近に感じる喜びをわかりやすくまとめた作品だ。

 自分の誕生日の一日前の6月15日が、北南首脳が力を合わせて統一しようと約束した記念すべき日だと知った智南さんは、驚きと喜びで胸がいっぱいになる。学校で開催される6.15記念祝典で催される展示会に、各家庭の「朝鮮」的なものを持ち寄ることになった智南さんは、家族の誕生日ごとに母親がワカメスープを入れてくれる「銀食器」を持っていく。審査員は、「あまりにも平凡だった日常が、わが民族固有の伝統だったことがわかり、そこに自負心を持つようになった」と評した。作品には発見の喜びが生き生きと書かれている。

 家族を描いた作品も多かった。中1散文部門1等の崔慧瑛さん(東北初中高)の作品「わたしの家族」は、両親と5人姉妹で構成される個性的な家族の姿を楽しく描きつつも、家族全員が民族の心を大切にしているという共通点に気づき、将来、自分もこのような家庭を築きたいとのモデル像を見出している。

朝鮮学校では文化活動も活発だ(写真は、昨年11月の朝鮮学生芸術祭での生野初級)

 また、中2散文部門1等の朴春紅さん(東大阪中級)の作品「オモニの資格試験」は、娘と一緒に「ハングル検定」試験に挑むオモニの姿をユーモラスに描いている。娘はウリマルを大切に思う母親の姿に深く感動する。

 一方、高級部韻文部門1等の金泰崇さん(神奈川朝高3年)は、祖国訪問の際に訪れた東明王陵での思いを「21世紀の高朱蒙」という作品に込めた。青い松林に囲まれた朝鮮初の世界遺産−高句麗壁画古墳群の一つ、東明王陵。泰崇さんはそこで、白馬に乗った高朱蒙の声を聞く。「日本の地であらゆる弾圧を乗り越えて、この地に統一祖国を建て、民族の誇りを轟かせよ」と。

 これら作品の背景には、世代を継いで民族教育の核と言える朝鮮語教育に日々力を注いでいる朝鮮学校教員たちの努力があると同時に、民族教育を支え、民族の心を大切に力強く生きる保護者と多くの在日同胞たちの姿がある。「コッソンイ」の作品からは、そうした同胞社会の中で育つ子どもたちの「目」から見た同胞社会の「姿」が見えてくる。

 今年は朝鮮民主主義人民共和国創建60周年を記念して「コッソンイ」作文コンクールが催される。たくさんの応募を期待する。(金潤順記者)

[朝鮮新報 2008.1.16]