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〈第30回在日朝鮮学生「コッソンイ」作文コンクールから〉 初級部3年生部門

 本社主催の第30回在日朝鮮学生「コッソンイ」作文コンクール1等入選作品の日本語訳(本紙編集部訳出)を今号から4編紹介する。

「わが家のチョソン」

 3年生になって2カ月。先生がこんなことを言いました。

 「みなさん、7年前の6月15日に、何があったかわかりますか?」

 私はその時まで、自分の誕生日である6月16日には関心があったけれど、その前日が特別な日だとは知りませんでした。

 クラスを見渡すと、みんな眉をしかめて考えていました。

 「先生、何の日ですか?」

 チャンヒやスリョン、みんなが聞きました。

 すると、先生はこう言いました。

 「7年前の6月15日は、わが民族の北と南の両首脳が平壌で会って、互いに力を合わせて、統一しようと約束した日です。この約束を『北南共同宣言』と言います」

 私は驚いて、目が丸くなりました!

 北と南が分かれていることは知っていたけれど、そんな約束をしたことは知りませんでした。

 なぜだか、心がとても温かくなりました。

 みんなも「わぁ!」と歓声を上げ喜びました。

 「そして今年は、学校のみんなが一緒にその日を祝うことになりました」

 6.15慶祝第2祝祭「ハナ」。この日は、統一の歌コンクールを行い、全校生による手のひらスタンプで統一旗も作り、いろんな民俗の遊びも楽しみ、そしてお昼には、朝鮮料理も食べると聞いて、期待がふくらみました。

 けれども、気になるのは、展示会「わが家のチョソン」でした。

 家ごとに、朝鮮民族を感じさせるいろんな物を持ち寄り、説明文をつけ、祝祭の日に学校の図書室に展示するのです。

 いくら考えても、うちには特別なものがなさそうだったし、オモニや妹のチソクと相談しても、いい案が出てきませんでした。

 いつの間にか日は過ぎて、展示品を持っていく朝になりました。

 (どうしよう? 今日までなのに…)

 私は、朝ごはんの支度をするオモニに「オモニ、何を持っていけばいい?」と聞きました。

 しばらくすると、オモニの声が聞こえてきました。

 「智南、あったよ! うちの中に!」

 「何があったの?」

 私は、オモニのもとへ駆けよって聞きました。

 オモニの手には、輝く銀食器がありました。それは、私の家族の誕生日に、朝からオモニのおいしい料理がたっぷり盛られる器でした。

 私は、それまで誕生日は特別だと知っていたけれど、この銀食器やそこに盛られるわかめスープが、朝鮮民族だけが誕生日にこしらえるものだとは知りませんでした!

 (うちには、「朝鮮」を感じられる特別なものはないと思っていたけれど、こんなそばにあったなんて!)

 展示会場で見たわが家の銀食器は、格別に輝いて見えました。

 6.15祝祭の次の日、9回目の誕生日を迎える朝。食卓には、昨日、展示会で輝いていた銀食器に、わかめスープやおかずが、たっぷり盛られていました。

 私の心は、いつになくはずみました。

 ただうれしかった誕生日は、私が「チョソンサラム」として生まれた意義深い日! 朝鮮の銀食器とおかずが、私の誕生日を毎年迎えてくれます。

 「わが家のチョソン」は、誕生日の朝です。

(京都朝鮮第2初級学校 朴智南)

[朝鮮新報 2008.1.25]