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〈デイサービスセンター・エルファを訪ねて〉 「今をどうよくしていくか」

 大切なことは今をどう良くしていくかを考えていくこと。

 「過去の過ちを認めていくことも大事なことであるが、本当に願っていることは日本人に謝らせたいなど、何かをしてほしいということではない。差別されたことは今でも許せないが、今の時代を生きる過去を知らない日本の若者に伝えたいことや言いたいことは、今の韓国と日本を差別のない本当につながりあった関係にしていきたいということ。お互いがお互いの国のことを認め合い、友好を深めてほしい」ということを言われた。

 私は日本がかつて韓国にした過ちを知り、まず謝りたいと思ったし、おそらく今も日本人を嫌いで恨んでいるとさえ思っていた。しかし、Aさんのお話を聞いて伝わってきたものは、過去にこだわったものではなかった。

 教科書問題を見てもわかるとおり、日本は世界的に見て歴史上でしてきた過ちに対して目を背けすぎていて、そのことに対してしっかりと認めていない。かつてナチスを生み出し、近隣国に多大な被害を与えたドイツについて、その近隣国はドイツのことを許しているかを尋ねると、今では80%の人々は許していると答える。これはドイツが過去のことに関して世界的に自国の過ちを認め、謝罪し、それを形として表しているからだといえよう。しかし、日本について朝鮮半島の人々に尋ねてみると、約20%の人々しか許していると答えない。このことをわれわれ日本人はしっかりと認識すべきであろうと思う。

 また、お話を聞かせていただいている時にふと気づかされたことがあった。それは朝鮮語という単語を使っていたことだった。Aさんは韓国人でありながら韓国語とは言わず、途中で言い直してでも朝鮮語とおっしゃっていた。それは北朝鮮の人も韓国の人も、もともとは同じ民族であり、複雑な歴史の中で2つに分断されたことがおかしいという気持ちの表れであろうと思う。

 これらの貴重なお話を聞かせていただき、とくに強く感じたことは、Aさんは本当に平和を願っておられ、また大切なことは、これからの時代を生きるからこそ、友好関係を築いていくことが大事なのだと感じた。このような辛い体験を話してくださったAさんやデイサービスの職員やみなさんに感謝している。(小田哲夫=仮名)

[朝鮮新報 2008.2.8]