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平壌市民の感想 「初めて聴くメロディ」「好感持てる」

 ニューヨーク・フィルの公演は、平壌市民が米国に対するよりリアルなイメージを持つきっかけになったようだ。

 「初めて聴くメロデイー」「リズムが独特」

 東平壌大劇場で公演を鑑賞した人びとの感想には、新しいものに接した時のとまどいを含んだものが多かったが、否定的な意見はなかった。逆にその表情からは、「いい音楽」に出会ったという喜びが見て取れた。

公演パンフレットに熱心に見入る観客

 平壌市大同江区域に住むチェ・ウンスクさんは、「米国の楽団が『愛国歌』を演奏したのが感慨深かった。とてもいい公演だった」と感想を話した。

 同フィルは平壌公演のために、演奏曲目と作曲家について紹介したパンフレットを製作した。聴衆は演奏を聴きながら、パンフレットに掲載された内容に興味深く見入っていた。

 一方、専門家は違った角度から印象を語ってくれた。女性奏者が多いという事実をあげて、「ほかの楽団より演奏がソフトでいい」との評があった。

 長い歴史を持つ同フィルがその名声にふさわしい、最高のパフォーマンスを披露したという点ではほぼ見方が一致していたようだ。

 朝鮮を代表する歌劇団、ピパダ歌劇団のリ・チョルギュ副総長は、「『新世界より』は音楽を始めて最初に出会った作品。今でも好きな曲だ。演奏を聴きながら当時の感情がよみがえった」と満足げだった。同劇団の歌手チョ・チョンミさんも、「さまざまな楽団が演奏する『新世界より』を聴いてきたが、ニューヨーク・フィルが一番。表現が繊細で音がクリアだ」と話した。

 一方で、ニューヨーク・フィルと比べても「朝鮮の交響楽団のレベルは決して劣らない」という声が一般人、専門家を問わず多く聞かれた。ある芸術団の関係者は公演の感想を聞く米国の記者に、「米国でも朝鮮の交響楽団の公演が行われて、たくさんの米国人が聴く機会があればいい」と答えていた。

 人びとは音楽を耳で楽しむだけでなく目でも楽しんだ。中には、「米国の交響楽団なのに奏者の中になぜアジア人が含まれているのか」という「素朴な疑問」を口にする人も。

 また、タクトを情熱的に振りながら全身で曲のメロディとリズムを表現する指揮者のマゼール氏に好感を持ったという感想も多かった。「いつかは『平壌のアメリカ人』という曲が作られるかもしれない」という彼の一言は深い印象を残した。

 ニューヨークから来た世界的指揮者は、その親しみやすい印象で米国人に対する平壌市民の既成観念を変えた人物になったのかもしれない。

[朝鮮新報 2008.2.29]