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「統一文学」搬入不許可 「10.4宣言の否定」

北側、南当局の対応注視

チョン・ソンナム北側編集部長

 北側の文学者らは語る。

 「われわれの作る雑誌に対する態度、それはすなわち統一に対する態度だ」

 北、南、海外が共同で編集、発刊する初の文学雑誌「統一文学」の南側での普及を封鎖しようとする動きが現れている。

 前述したように「統一文学」創刊号は今年2月5日、平壌で印刷を終え11日には北、南、海外文学人が中国・瀋陽に集まり創刊記念行事を行った。雑誌は2月下旬に陸路で南側へ配られることになっていた。

 ところが南側当局は雑誌の搬入自体を許さないという立場を表明している。「統一文学」北側編集部には、雑誌の受け取り時期と方法に関して南側から知らせがまだ入ってきていない状態だ。

 南側の報道によると、統一部は雑誌に掲載された北側作品に「南側の情緒にそぐわない表現」があり、その部分を削除しないかぎり搬入を許可することはできないという方針を立てているという。たとえば、北側の小説と詩に登場する「領袖」という呼称などを問題にしていると伝えられている。

 「統一文学」は北、南、海外文学人らが参加する共同編集委員会が雑誌に掲載する小説、詩、評論を選定する。創刊号の場合も、北と南の各側が推薦する作品を相互に交換し、相手側で選ぶようにした。南側当局が問題視する北側の文学作品の最終的な選定者は南側の文学人だ。

2006年10月、金剛山で行われた北南文学者による6.15民族文学人協会結成式 [朝鮮中央通信=朝鮮通信]

 チャン・ヘミョン副会長は、掲載する作品の選定基準は、6.15北南共同宣言の基本理念である「わが民族同士」だと強調する。

 そして「全同胞がともに読む文学誌を目指すなら、『わが民族同士』の精神にふさわしく、相手側の思想と制度を批判せず北と南、海外同胞の生活をそのまま反映した良質な作品が掲載されなければならない」と述べ、創刊号はそのような要求を満たしたと指摘した。

 チョン北側編集部長は、雑誌の編集は「民主主義」と「公正性」の原則に徹底的に基づいていると強調する。掲載作品の編数、分量も北と南はほぼ同じだ。掲載順序を見ても、小説を北側の作品から紹介する一方、詩は南側の作品を先に紹介する形式をとった。

 作品を原文そのまま掲載するということも雑誌編集の重要な原則だ。創刊号では、北側の人々が読むことになる南側作家たちの作品は一言一句修正されなかった。

 北と南、海外の文学者が共同で編集する「統一文学」は、「6.15共同宣言、10.4宣言の産児」であり、「祖国統一実現の力強い武器」だとチャン副会長は語る。雑誌が全同胞の支持を得て広く愛読される過程こそ思想と制度の差を超えて「わが民族同士」で統一を成し遂げていく過程だという指摘だ。

 10.4宣言を通じて、北と南は民族共同の統一綱領である6.15共同宣言を全面的に具現していくことを内外に示した。10.4宣言には「北と南が民族の悠久な歴史と文化を輝かすために歴史、言語、教育、科学技術、文化芸術、スポーツなど社会文化分野の交流と協力を発展させていくことにした」と明記されている。「統一文学」の創刊を準備した文学者らは10.4宣言の履行で先駆者的な役割を果たしたわけだ。

 北側の文学者らは「統一文学」の普及問題を、今年の2月に出帆した南朝鮮新政権の10.4宣言履行に対する意志を判断する試金石と見なしている。

 北側の制度の特性を表す語彙やフレーズを南側の尺度に合わせて問題視するのは、10.4宣言の核心内容の一つを否定する行為だ。宣言には「北と南が、思想と制度の違いを超えて北南関係を相互尊重と信頼の関係に確固と転換させていく」という項目がある。

 北側の文学者らは雑誌をめぐる論議を北南の対立ではなく統一勢力と反統一勢力の対決だと分析している。民族共同の文学誌が南側に搬入されることを遮断しようとするなら、それは雑誌の性格や、民主主義と公正性に基づいた編集過程に照らして見ても、「北に対する反対と片付けるよりも、統一そのものに反対していると言っていい」というのが北側文学者らの見解だ。

 チャン副会長は、「異なる政治と制度圏の下にいる文学者が統一を志向して一緒に本を作ったことに、全民族が拍手喝采を送るべき」だと評価した。

 「過去に日本の植民地時代、活動の里程標がなかったため文学者が暴政に屈して廃刊となった本が多かった。しかし『統一文学』は6.15共同宣言と10.4宣言という里程標にしたがって、民族の宿願が実現されるその日まで途切れることなく発刊されていくだろう」

[朝鮮新報 2008.3.14]