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〈本の紹介〉 わが科学の謎 第2巻

朝鮮の科学史 共に研究を

 「わが科学の謎」第2巻、待望の書である。本紙に第1巻の書評を書いた際、現在、準備中という続巻にどのようなテーマがとりあげられているのか、期待がふくらむばかりであると書いた。そして、まさにその通りに以下のような興味深い内容である。

 金属活字は高麗で初めて造られたのか、平面に描かれた「天の絵」の用途は、世宗が七政に関心を向けた理由は、崔漢綺はなぜ西洋科学を学んだのか、風水地理は科学か、丁若銓はなぜ魚を描かなかったのか、亀甲船は鉄甲船だったのか、測雨器で降雪量も測ったのか、それぞれに疑問符が付けられ、第1巻と同様それらの問題を韓国科学技術院(KAIST)の学生たちが自分たちの手によって解決していくスタイルが取られている。それは文献の調査であったり、専門家へのインタビューであったり、現物および現地の調査であったり多様である。例えば世界最初の雨量計である「測雨器」、それは降雪量も測れるはずだが、当時の記録を調べてみると雪の降った日でも測雨器の記録はゼロとなっている。そこから、測雨器は農業と深く関係する雨量測定のみを目的としたと結論づけている。むろん、学生のレポートであるから不十分な点も出てくるが、最終的には編者が検討を行い、内容的にも高い水準を維持している。

 編者は序文で次のように書いている。「研究とは未知の世界への航海です。教師が与える情報を単純に暗記することとはまったく異なる次元の仕事です。…なぜ、そうなのか≠問い以前の人たちはこの問題に対してどのように考えたのか≠探して学び、いや、私は別な視点で=A自身の考えをもたなければなりません。さらにそれを立証する証拠を確保し、論理を立てなければなりません。…後学が本書で単に韓国科学史に関する知識を掘り起こすだけでなく、このような方法までも学んでくれればと思います」。朝鮮科学史の優れた解説書にとどまらない本書のもう一つの性格を示しているといえるだろう。

 さらに、序文では第1巻が賛辞をもって迎えられたが、なかでも格別な意味を持つものの一つとして、「学生たちの目線によって朝鮮科学史を解き明かした」という本紙の書評を挙げている。編者は、朝鮮新報は北と関連が深いので、もし北の学生たちも同じような作業を行い、わが科学史研究をより豊富にしてくれればと楽しく想像したという。一歩進んで、北南の学生たちの共同作業までも想像したいところである。

 最後に編者である申東源氏を簡単に紹介しよう。1996年にソウル大で「韓国近代医療体制の形成」で博士号を取得、現在KAIST教授の要職にある。本紙にも紹介した「虎列刺、朝鮮を襲う」をはじめ多数の著書があり、すでに医学史研究の第一人者といってもいいだろう。02年全北大でのセミナーでお会いして以来親交を深めてきたが、そんな縁もあって本書には筆者の研究にも言及されている。ささやかな北南科学交流といったところだろうか。(申東源著、ハンギョレ出版、問い合わせ=コリアブックセンター、TEL 03・6820・0111)(任正爀・朝鮮大学校教授)

[朝鮮新報 2008.4.4]