済州島4.3事件60周年 大阪、東京で民俗クッ |
「共に歩もう 平和への道」
4月21日、東京・日暮里サニーホールで「済州島4.3事件」60周年記念講演と済州民俗クッ(巫祭)「共に歩もう平和への道」が同実行委員会の主催で開かれ、約700人が会場を埋め尽くした。 講演に先立ち、事件の犠牲者を悼んで参加者らがいっせいに黙とうした。 講演は作家・金石範さんに、エッセイストの朴慶南さんが質問する形で進められた。 金さんは1925年生まれの今年83歳。京都大学卒業後、デビュー作「烏の死」以来、代表作「火山島」(全7巻)にいたるまで一貫して済州島4.3事件をテーマとする作品を発表してきた。その作品は、南の軍事政権下で、沈黙を強いられてきた事件を広く世界に知らせ、南の人々を勇気づけてきたことで知られる。 「政治が歴史の記憶を抹殺して闇に葬り、その恐怖の中で自らの記憶を殺して死とぎりぎりの忘却の底で生きてきたのが、済州島民である」と述べた同氏は、韓国軍による焦土化作戦で、全島は徹底的に破壊され、犠牲者は2万5千から3万人に上ったと指摘。さらに、事件以降、島では半世紀以上も「見てはならぬ、口を開いて話してはならぬ、耳で聞いてはならぬ、外部からの恐ろしい国家権力による記憶の他殺、権力による恐怖からくる島民自身による記憶の自殺」が続いたと述べた。
そうしたタブーを打ち破り、真相究明のための血のにじむ努力が内外で続き、03年10月31日、盧武鉉大統領(当時)が済州島を訪れ、国家権力の過ちについて遺族と済州島民に公式謝罪した。 事件から60年、済州島での慰霊祭は「犠牲者を前にして、遺族らの悲しみを悲しみとする自由、悲しみに地を叩いて慟哭する場」となったと述べ、「悲しみの自由の喜びが再び奪われてはならない」と強調すると、場内からは割れるような拍手が送られた。 また、同氏は李明博政権下で続いている4.3特別法などの改悪の動き、さらに「国家正体性回復国民協議会」などの極右勢力が、事件を「左翼暴徒」による「左翼暴動」だと決めつけるなど否認し、ゆがめる大広告を朝鮮日報、東亜日報などのメディアに掲載したと強く非難した。 舞台では、済州民芸総による民俗クッ「共に歩もう、平和への道」が上演された。詩人・金秀烈さんが自作詩「そろそろ共に歩まないと」(30日付に訳文掲載)を朗読した後、4.3事件の集団虐殺の悲劇として知られる「百祖一孫」の墓をモチーフとした「ノリぺ漢拏山」による演劇「骨探し」と、鄭公鐡神房による犠牲者たちの霊を慰めるクッが行われた。 一方、これに先立ち、19日、大阪のクレオ大阪中央大ホールでも記念公演が行われ、約1000人が観覧した。(朴日粉記者) NHKが特集 NHK・ETV特集「悲劇の島・チェジュ(済州)〜4.3事件60年目の真相究明」が4月27日(日)、夜10時〜11時半に放映される。 [朝鮮新報 2008.4.23] |