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〈みんなの健康Q&A〉 春先のうつ−ケアと治療

 Q:身近な人がうつ病にかかった場合、周りはどう接したら良いのでしょうか。

 A:うつ病患者の家族の心がけを少し説明しましょう。うつ病をはじめ、心の病の治療のためには、家族をはじめ身近な人たちの協力が非常に大切です。うつ病を理解し、本人の話を良く聞き、共感的に接し、叱咤激励しないようにしましょう。決して悩みを、「たいしたことない」と否定せず、説得、反論、説教などをしないようにしましょう。うつ病の苦しみは、外見から想像する以上に大きいものです。それから、うつ病の症状がひどい時は重要な決定をしてはいけません。悲観的、絶望的な心理状態になるうつ病では、さまざまな問題に対して正しい判断はできなくなりますから、ものごとを焦って決断をするようになってしまいます。判断を誤り、後々になって後悔することが多いのも特徴ですから、重要な決断は一旦棚上げにし、病気が回復した段階で答えを出した方が良いでしょう。

 Q:うつ病は「こころの風邪」という話を聞きますが、誰でもかかりうる病気なのですか?

 A:最近の調査では、10〜15人に一人ぐらいは一生に一度は抑うつ感を経験すると報告されています。うつ病は誰もがかかる病気で、「こころの風邪」みたいなものと例えられます。確かに、誰でもかかる病気という点では風邪と同じです。しかし、うつ病は風邪のように短い期間で治る病気ではなく、放置すると重症化してしまう可能性があります。うつ病に対しては「少し休めばすぐ治る」と軽く考えてはいけません。うつ病の原因はハッキリしませんが、ストレスが引き金になることもあれば、何のきっかけもなくなることもあります。30歳以上に多く、几帳面・責任感が強い・良心的・周囲に気を使うなどの性格的な特徴があります。

 Q:うつ病の治療について教えてください。

 A:まず、仕事などの負担をできるだけ減らし、心身をゆっくり休めることが大切です。同時に抗うつ薬を中心とする薬物療法とカウンセリングなどの精神療法も有効です。治療は早期に始めるほど効果があり、最近の抗うつ薬であるSSRI(選択的セロトニン再吸収阻害薬)は、副作用も少なく服用しやすくなっています。しかし、抗うつ薬は飲み始めてから2〜4週間して次第に効果が現れるので、焦らずに治療を続けなければなりません。また、症状が改善しても、しばらくは薬をのむ必要があります。「うつ病かもしれない」と思ったら精神科・心療内科を受診してください。それでも「精神科はちょっと…」と思われるならば、内科を受診しても良いと思います。そして内科医に相談し、医師から「検査ではどこにも異常はありません。気のせいでは?」などと言われ、薬を1カ月以上飲んでも、少しも良くならない場合は、その時は躊躇せずに精神科・心療内科を受診してください。

 Q:専門医の治療を受けないとどうなりますか?

 A:最近の調査ではうつ病を経験した人で治療を受けた人の割合は約24%で、治療を受けるべき人の多くが受診さえしていないのが現状です。未治療のままうつ状態が続くと、次第に症状は重症化し、さらに病気の慢性化、再発を繰り返しやすくなります。うつ病は病気であることを理解し、治療を受けた方がよいでしょう。うつ病になったからといって決して悲観する必要はありません。十分な休養をとり、適切な薬物療法を行うことでうつ病の多くは回復に向かいます。

 Q:新入社員たちに一言アドバイスをお願いします。

 A:仕事に対して真剣に取り組むことはとても大切なことです。しかし、失敗や叱られることを、過剰に深刻に受け取らないでください。とにかく新社会人に覚えておいてもらいたいことは、上司や同僚に対して「困っていると言わなければ、相手に解ってもらえない」ということです。当たり前のようですが、上司との人間関係も満足にできていない新人には、適切に相談できなくても無理はありません。「何を相談して良いか解らない、こんな事を相談しても恥ずかしいし、迷惑をかけてしまう」などと自分の体裁ばかりを考えず、多くの人に話してみることをお勧めします。その相談相手の中に精神科・心療内科医もいるのです。

 私個人が感じたことですが、最近の若者は際だってコミュニケーション能力が低いと思います。「話してみないと相手には通じない」「当たり前の事が最近は難しくなっているのかな〜?」と、最近の患者さんと話している時に思います。もう一度言います。

 「話さないと気持ちは伝わらない」

 これは人間関係の基本なのです。

(駒沢メンタルクリニック 李一奉院長、東京都世田谷区駒沢2−6−16、TEL 03・3414・8198、http://komazawa246.com/)

[朝鮮新報 2008.5.21]