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朝大 朝鮮自然博物館 動植物など約1200種、2500点

「朝鮮の自然 身近に感じて」

朝鮮に生息する動物の剥製

 最近の大学生は生き物にあまり詳しくない。そのせいか大学の講義でよく私は、自分の息子たちのことを引き合いに出す。

 5歳になる子どもたちは、私に似てかどうだか生き物が大好きである。ご多分に漏れず昆虫も好き、お魚も好き。もちろん恐竜大好きである。毎晩図鑑とにらめっこしては画用紙に一生懸命クビナガリュウの絵を飽きもせずに描くのである。いや、勉強熱心で誠に結構か。そんな子どもたちを連れて最近国立科学博物館へ行ってきた。まだ博物館見学は早いかなと懸念したが、足を踏み入れたとたん子どもたちの表情が一変した。半日歩き続けて大変な一日であったが、さすがは科学博物館、おそるべしであった。

 世界中にいろんな博物館があり、それぞれのテーマで主張をしている。価値観が多様化し、人間の生き方も社会の仕組みも複雑になってきた。科学の進歩は人間の生活を快適にしてきた訳だが、それ以上に失ってきたものもあるのではないだろうか。科学と自然の共存は当事者で最大の責任者である人間にとって永遠のテーマである。博物館はそのような人間らしく生きていくためのヒントを与えてくれる空間であってほしい。

豊富な地下資源、岩石などが並ぶ

 さて、私の職場である朝鮮大学校にも博物館がある。朝鮮歴史博物館と朝鮮自然博物館。理工学部生物学専攻である私は、朝鮮自然博物館の責任者である。当博物館は朝鮮の自然を紹介する非常に珍しい博物館だ。朝鮮にすら存在しない貴重な標本がここにあるということを踏まえると世界唯一、オンリーワンの博物館であるといえるだろう。

 朝鮮自然博物館は、朝鮮大学校創立25周年を記念して1981年に開設された「朝鮮大学校記念館」の1階に位置する。決して広いとはいえないこの博物館には、祖国から贈られてきた鉱物、岩石、化石、動植物、昆虫など約1200種、2500点あまりの標本が展示されている。まさに朝鮮の自然を手軽にそして濃厚に満喫できる。

 その祖国に埋蔵されている地下資源や生き物たちのこれからの運命は、朝鮮半島を取り巻く情勢と切っても切りはなせない関係があろうことは誰もがご存知であろう。これからまさに激変が予想されるわが祖国の発展にわくわくしつつ、これからの朝鮮とアジア、そして世界の自然保護、資源の有効活用にわれわれももっと積極的に絡んでいくべきであると切実に思うものである。そのような志や能力を育むのにわが博物館が役に立つのならどれだけうれしいことか。

魚や両生類、は虫類のホルマリン標本など

 朝鮮の自然を公開する朝鮮自然博物館が担う役目はこれからもっと大切なものになるであろう。そしてそれをいかにわかりやすく、もっとたくさんの人々に伝えていくのか、つまり博物館をどのようにプロデュースしていくのかがとても重要である。

 現在朝鮮自然博物館は改装作業中である。朝鮮大学校創立50周年記念事業の一環で改装を開始した。作業の途中とはいえ、改装以前の博物館しかご存じない方がご覧になるとその変貌ぶりに驚くに違いない。これから多くの人々の目に止まることによって、さらに変化が期待され、より充実していくであろう朝鮮自然博物館。次回からその見所を少しずつ紹介していきたい。(李景洙、朝鮮大学校理工学部講師)

 朝鮮自然博物館へは「朝鮮大学校国際交流委員会」へ電話連絡のうえお越しください。

朝鮮大学校 東京都小平市小川町1−700、TEL 042・341・1331(代表)。

アクセス

・JR中央線「国分寺」駅北口より西武バス「小川上宿美大前行き」または「小平営業所行き」「朝鮮大学校」下車徒歩1分

・JR中央線「立川」駅北口より立川バス「若葉町団地行き」、終点「若葉町団地」下車徒歩10分

[朝鮮新報 2008.5.28]