京都で岡部伊都子さん しのぶ会 「闘うべきときに、闘った人」 |
700人が参列
4月29日、肝臓がんによる呼吸器不全のため死去した随筆家の岡部伊都子さんを「しのぶ会」が、5月31日、京都市上京区の同志社新島会館でしめやかに行われ、北海道から沖縄までの各地から駆けつけた約700人の参列者が故人をしのんだ。 友人を代表して、まず上田正昭・京大名誉教授が、「岡部さんとは1964年に初めてお会いして以来、とくに鄭詔文さんが発起して創刊された『日本のなかの朝鮮文化』を通じて、司馬遼太郎さんらと共に仲間の一人として語りあってきた。岡部さんは己に厳しく、他人に優しい稀有な女人。くらしの中から、美のまことをみつめ生活者の思想を具現化した女人であった」と追悼の言葉を述べた。 また、染織家の「人間国宝」、志村ふくみさんは、「沖縄がご縁で、30年以上もおつきあいしてきたが、岡部さんはまさに月光菩薩のような方。目線を低くして、沖縄や差別される人々と共に歩んだ実にご立派な生涯だった」と述べた。 「岡部伊都子集」(岩波書店)を、作家の落合恵子さんと共に編集した評論家の佐高信さんは「いわゆるいい人というのは、闘うべきときに闘わないどうでもいい人をさす。その意味で岡部さんはいい人ではなかった。闘うべきときに、決して逃げずに闘った。生涯、身を削って周りを明るくした花あかりの人だった」と故人をしのんだ。 また、南の詩人で世界詩人会議議長の高銀さんも「生きてきた時間のなかで、こんなに美しい人間がいただろうか/東アジアを灯すろうそくの灯であられた」との追悼詩を寄せた。(粉) [朝鮮新報 2008.6.6] |