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〈朝大 朝鮮自然博物館 A岩石〉 堂々と並ぶ160種もの岩石

朝鮮の国土 生きている証

朝鮮各地で産出された花崗岩コレクション

 昨年、「生物」と「非生物」の境界を論ずる書籍が大変注目された。著者は「生きている」とは何かについて非常に興味深い見解を示してくれた。それは「動的平衡」、つまり「構成成分が絶えず入れ替わりながら体を維持する」ということ。うーん、本当にそうなんだろうか。たしかに生物は、己の体のタンパク質など構成物質を絶えず分解しながら同時に合成することによって見かけ上あまり変化しない。そして生き物以外の「物」は成分が入れ替わるなんてことはないだろう。例えば石の場合、あの見るからに固い成分が入れ替わりながら形をとどめているなんてことは無い。石は石である。

 さて、みなさんは「石」についてどのようなイメージをもっているだろうか。グルメな方なら石焼ピビンバの容器、ウリナラでよく見かける美しい大理石、そうなると御影石やモアイの石像、そしてその辺に転がっているさまざまな小石。まさに地球上どこにでもあまねく存在する「石」。石器時代から人間は深く「石」と関わりながら生きてきたと言える。ところで一体、地球上にはどれくらいの石があるのだろうか。ウリハッキョでは、中級部1年の理科で少し習うことになっているのでおさらいをしてみよう。

堆積岩のひとつである砂岩

 岩石の種類はその成り立ちから大きく3つに分かれる。火成岩、堆積岩、変成岩である。簡単に説明するならマグマが冷めて固まったのが火成岩、地表でくだけて細かくなった砂などが堆積し固まったのが堆積岩、それらの石が地下深くで圧力や熱によって変化したのが変成岩である。地底深くマントルの活動や地上のいろんな物理化学的影響で石は創られる。それら3つのカテゴリーに含まれる岩石がまたたくさんあるのだ。

 わが朝鮮自然博物館には、祖国から送られてきたそのような岩石の実物が、なんと160種も陳列されているのだ。例えば火成岩の代表的な岩石である花崗岩だけで27種もの標本を管理している。球状花崗岩、細粒乳白花崗岩、粗粒黒雲母花崗岩など、どのような成分が含まれるかによって岩石の色や固さに違いができ石材としてより適した用途で使用される。石なんてどれも一緒などと考えていたらそんなに甘くなかった。ぜひ当博物館に足を運んで堂々と並んでいる花崗岩たちを見比べていただきたい。

変成岩は56点展示されている

 ちなみに先ほど例えであげた御影石も花崗岩の一種である。これら火成岩や変成岩が地表で風雨にさらされるとくだける。それがつもると堆積岩になる。堆積岩の一種である礫岩、砂岩、泥岩は固まる粒の大きさで区別されるのだ。これらも実際に間近でみると粒子の大きさがよくわかる。砂が固まって石になるなんて少し妙な感じなのだが、これも実物をご覧あれ。見た目は「砂」なのだがすごく固い。それら堆積岩や火成岩が少しずつ地底に沈んで圧力や熱で変質すると変成岩になるのだ。ん? なんだかおかしい。岩石には始まりも終わりも無いのか。

 専門家の話によると、岩石が形成される時間は、「火成岩は大体数カ月から数百万年くらい、堆積岩は数千万年規模、変成岩は数億年かかるのでは」と考えられているようだ。想像を絶する長い時間をかけて地球上の岩石は絶えず循環し姿を変えていたのだ。言葉をかえると地球は「絶えず構成成分を入れ替えて自分自身を維持している」と言えるだろう。なんと地球は「生物」ではないか!

 朝鮮自然博物館の展示室で朝鮮という国土が生きている証、祖国の岩石たちが語りかけてくる声に耳を傾けてみてはいかがだろう。(李景洙、朝鮮大学校理工学部講師)

 朝鮮自然博物館へは「朝鮮大学校国際交流委員会」へ電話連絡のうえお越しください。

朝鮮大学校 東京都小平市小川町1−700、TEL 042・341・1331(代表)。

アクセス

・JR中央線「国分寺」駅北口より西武バス「小川上宿美大前行き」または「小平営業所行き」「朝鮮大学校」下車徒歩1分

・JR中央線「立川」駅北口より立川バス「若葉町団地行き」、終点「若葉町団地」下車徒歩10分

[朝鮮新報 2008.6.11]