愛知トンポ文化祭 「ハナ」になる日を夢見て |
530人観覧 6.15共同宣言8周年記念あいちトンポ文化祭「ハナ(ひとつ)になったその日には」(主催=同実行委員会)が7、8の両日、愛知県名古屋市の東別院ホールで開かれた。同胞や生徒、日本市民ら530余人が観覧した。 文化祭は、6.15北南共同宣言の精神にのっとり、北、南、海外同胞たちの連帯を願って企画された。
舞台には、在日同胞による構成劇「ハナになったその日には」と、南朝鮮の劇団「トッペギ」の創作劇「ハラボジの必統(ピルトン)(おじいさんのふでばこ)」が上がった。 はじめに、デイサービスセンター「いこいのマダン」に通う認知症の1世ハルモニが、故郷の思い出や他郷暮らしのつらい思い出、日本の警察の弾圧に抗いながら朝鮮学校を守った思い出などを語る独白劇が披露された。慶尚道の方言を使いこなし、愉快で表情豊かなハルモニに扮したのは、蔡一恵さん。「ウリマルで1世たちの姿を表現していきたい」。 つづいて、「ハラボジの必統」が上演された。この演劇は、兵庫県と愛知県に住む在日1世の証言をもとに書き上げられた。兵庫県神戸市を舞台に、地下トンネル跡地で強制連行の史実を多くの人々に伝えるハラボジと孫を取り巻く物語。そして、夢を探しに日本へ来た南の女子大生と歴史の真実を追い求める日本人新聞記者の姿が織り込まれている。 在日同胞の姿をリアルに描き、「祖国統一」と真剣に向き合いながらも、ユーモアあふれた構成は、観客の笑いと涙を誘った。劇の合間には歴史の真実を明かし、強制労働で犠牲になった朝鮮人の「恨」を解くため、仮面の踊りで霊たちを慰霊した。 「トッペギ」は、6.15共同宣言を契機に2004年11月に結成された社会派劇団。20、30代の若手役者で構成され、ソウルを拠点に活動している。 主人公のハラボジを演じた金耿樂代表は「何よりも、南、北、海外同胞たちの3者連帯の礎石になると思い、ここに来た。1、2世の同胞たちの生きてきた過酷な歴史に思いをはせ、在日3、4世や南の青年たちが、統一についてもう一度考えてくれれば」と語った。 劇後、数々の試練を乗り越えてきた1世の力強い生き様、次世代の息吹、統一への願いを込め、3世の黄香順さんが「アリラン」の曲に合わせ舞った。黄さんは、「舞台を通して、統一の主人公は私たちであるとあらためて感じた。今後も、祖国統一の実現に向けて、北、南、海外同胞の交流を深めるべきだと思う」と話した。 上演後、「ハラボジの必統」の主人公のモデルである徐元洙さん(兵庫県居住、カメラマン、83)が紹介された。徐さんは「大したこともできなかったのに、このように評価してくれて、感慨無量だ。次世代が祖国統一への信念を強く抱き、民族性を継いでいってほしい。また、舞台が人権問題や日本当局の敵視問題など、同胞社会の懸念を解決する助けになれば」と述べた。 劇団「ひらき座」メンバーの水谷朝子さん(38)は、「歴史のことを学んだつもりでいたが、忘れてしまう。日々、勉強しなくては。また、訴え続けることが大事だと思った。これから日本人として、朝鮮半島の統一問題とどう向き合っていくかが課題になった」と感想を残した。 公演を観覧した朝鮮学校の生徒らは、「統一についてもう一度深く考える機会になった」「1世たちが歩んできた道を守らなければ」などと話し、演劇の中でハラボジが「統一はすでに成された」と言ったことばが胸に重く響いたという。(文=姜裕香、写真=文光善記者) [朝鮮新報 2008.6.16] |