〈朝鮮と日本の詩人-59-〉 西沢隆二 |
思想犯への拷問の残酷さ 君らは馬のように鞭うたれた 君らは天井から荒縄で吊るされ おお 朝鮮の同志よ! それをおれ達は今朝知ったのだ 思想犯に対する拷問の残酷さを、検閲を意識した限界点で描写した詩として注目される「荒縄」全31行7連の初め4連の全部である。ちなみに「殺され」は発表当時伏字であった。 「味噌汁の匂い」が消え「飯の味」を変えたという詩句で、詩人は朝鮮人革命家への連帯感を表した。 西沢隆二は中野重治、佐多稲子たちと同人詩「驢馬(ろば)」に加わって詩を書き始めた。日本共産党員となりナップに加盟して詩人として活躍した。 33年に逮捕され45年の敗戦後に非転向で出獄した。獄内で書き綴った詩・短歌・俳句などをまとめて詩集「編笠」を46年に出版した。(卞宰洙・文芸評論家) [朝鮮新報 2008.6.16] |