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〈みんなの健康Q&A〉 C型慢性肝炎−症状と治療

HCV感染 30〜35年で発ガンの危険

 C型肝炎ウイルス感染者は日本国内で200万人とされ、その多くが慢性肝炎患者であることから、C型肝炎は日本の「国民病」とされている。

 一方、朝鮮や日本を含む東アジアではB型肝炎ウイルス感染がまん延しており、在日同胞にも母子間感染によるB型肝炎ウイルス感染者が少なくない。日本国内におけるB型肝炎ウイルス陽性者は150万人であるという。

 これらウイルス性慢性肝炎は自覚症状が伴わないため、病気として気付かれることなく、数十年の経過を経て肝硬変、肝細胞ガンへ進行し、その症状が現れた時にはすでに治療が困難なことも稀ではない。しかし、早期に診断されるならば、病気の進行が遅く十分な時間が得られるため、治療によりその進行を食い止めることが可能な疾患でもある。

 とりわけ、最近4〜5年間におけるウイルス性肝炎の診断と治療法の進歩は、それ以前の10年間におけるそれを明らかに凌駕している。2回にわけて最近の話題を紹介する。

 Q:C型肝炎ウイルスはどのようにしてうつるのですか?

 A:C型肝炎はウイルス(HCV)の感染で起きる病気です。HCVの検査が容易に行われるようになったのは1992年頃からですが、それ以前では、輸血や予防接種、手術、注射などの医療行為による感染が主でした。今日では考えにくいことですが、当時は、HCV陽性の輸血を避けることはできませんでした。また、20年以上前には、今考えると、HCVに対しては不十分な消毒をほどこした注射器や注射針を何度も使用したため、新たなHCV感染の元になっていました。現在では、一度使用した注射器などの医療器具はそのまま捨てられ、ほかの患者さんに使用されることはありません。

 一方、HCVは遺伝では感染しません。ごく一部(HCV感染の7%)に妊娠中、または出産の時の母子感染がみられますが、生まれて成長する過程でHCVが消える事も少なくないようです。性感染も実際は極めて少ないようです。

 今後も引き続き残る感染経路としては、覚せい剤などの静脈注射薬の乱用、入れ墨、ピアスの穴をあける器具の使い回しなどが挙げられます。

 Q:献血でHCV抗体陽性といわれました。肝炎の症状はないのですが発病するのではないかと思い心配です。

 A:HCV抗体陽性は、感染したことがある、ということです。それだけで現在もHCV感染中、つまり慢性感染とは断定できません。

 HCVに感染しても、全員が慢性肝炎を発病する訳ではないのです。一般にウイルス感染の急性期では、ヒトの免疫反応でウイルスが自然に駆除されることがあります。HCVの場合でも、感染して半年以内に30〜40%で自然に治癒する現象がみられます(図表@ HCV感染の自然史)。しかし、ウイルス感染がひとたび起きると、その後HCVが首尾よく排除されても、ヒトのリンパ球はHCV抗体を作り血液中に放出するのです。ですから、HCVに感染したことがあるならば、HCVが肝臓に残っていてもいなくても、みなが陽性です。HCV抗体陽性とは、「以前HCVに感染したことがある」、という証拠ですが、それ以上のことは言えません。

 Q:それでは今もHCV感染が続いているかどうかを調べる必要があるのですね。

 A:その通りです。

 今もなおHCVが排除されず肝臓で増え続けているならば、肝臓から血液中にHCVの遺伝子(RNA)がたくさん放出されます。そこで、血中のHCV遺伝子の検査を行います。07年末に導入された新しい検査方法を用いると、血清1mlあたり15〜20個以上のHCV、RNAをみつけることが可能であり、通常の持続感染状態ではその100倍以上のHCVが血中に浮いています。献血でHCV抗体陽性といわれた場合は、病院でこの検査を受けることで、肝臓にHCVがいるかどうかを知ることができます。血液中にHCV、RNA がみつかる場合はC型慢性肝炎かその準備状態であるため、HCVを駆除する治療を考えることになります。

 Q:C型慢性肝炎はどのような症状があるのでしょうか?

 A:慢性肝炎はほとんどの場合、症状がありません。

 私の外来に通院している患者さんの90%以上は何らかの肝臓病を患っている人たちですが、そのうち自覚症状を伴う人はほんの一部です。これらの方はほとんどが進行した肝硬変や肝ガンの方たちで、その症状は黄疸、腹水、下肢のむくみ、倦怠感、食欲低下、やせることなどです。しかし、それ以外の大多数の患者さんには症状を見いだすことができません。

 つらい症状がないことは悪いことではないはずです。しかし、HCV陽性と言われても症状がないことをよいことに、精密検査を受けず、病院で治療を受ける機会が減るとするならば、後に禍根を残す結果を招きかねません。一方、症状がない時期に病気をみつけ治療すると、進行する前にC型肝炎から解放される道が開けることでしょう。

 Q:発病すると肝硬変・肝ガンになる恐れがあるとききました。

 A:肝ガン・肝硬変になることがC型肝炎で最も重大な問題です。

 C型慢性肝炎ではHCV感染から30〜35年で発ガンする危険が高いとされています。

 C型慢性肝炎からは年に0.5%から3%の割合で肝ガンが見つかりますし、肝硬変ではそれが7〜8%に跳ね上がります。このことは、肝硬変に進行した頃から7年位の間に患者さんの半数以上が肝ガンを合併することを意味します。仮に肝発ガンがなくとも肝硬変により食道静脈瘤や黄疸、腹水などの重い症状が出現し、日常生活に大きな支障が出てきます。C型肝炎を背景とする肝ガンはうまく治療されても再発が多く(治療1年後に20%以上)、以後は肝ガンが再発するたびに治療を繰り返し受けることになります。肝ガンにならないための、予防策を講じることが最も重要です。(姜貞憲先生、手稲渓仁会病院消化器病センター、札幌市手稲区前田1条12丁目、TEL 011・681・8111)

[朝鮮新報 2008.7.2]