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〈みんなの健康Q&A〉 C型慢性肝炎−症状と最新治療

最大の武器、インターフェロモン

 Q:自覚症状はないけれど、招来の肝硬変・肝ガンを避けるためにインターフェロンで治療するということですが、治療方法についてもう少し詳しく教えてください。

 A:インターフェロン治療の方法は、HCVのタイプ(遺伝子型)と血中のウイルス量によって決まります。遺伝子型1bは日本で最も多く、インターフェロン治療の効果が低いのですが、他の遺伝子型としては2a、2bがあります。HCVは血清1ml当たり10万個以上を高ウイルス量、それ未満を低ウイルス量とします。当然高ウイルス量のほうがインターフェロン治療に抵抗性です。したがってインターフェロン効果が低いのは遺伝子型1bかつ高ウイルス量(難治例)ですが、実はこの組み合わせの患者さんが全体の70%を占めるといわれています。残りの30%はインターフェロンの効果が高い方たちです。治療薬は、1週間に1回の皮下注射で効果が持続するペグインターフェロンと、リバビリンという内服薬の併用です。1bで高ウイルス量の難治例では48週間かそれ以上の期間でこれらの併用を、難治例以外は24週間の併用またはインターフェロン単独投与が普通です。

 Q:患者さんが多いという難治例の治療効果について教えてください。

 A:遺伝子型1bで高ウイルス量の難治例では、48週間のペグインターフェロン/リバビリン併用療法ウイルス排除効果は、50%前後です。HCVが残るものの、肝機能が正常化する場合が20〜30%でみられます。全く効果が得られない患者さんは全体の20%です。一方、遺伝子型1b、高ウイルス量以外ではHCV排除効果は70〜80%と見込まれます。

 Q:遺伝子型1bで高ウイルス量の場合はウイルス駆除効果が約50%とのことですが、さらに治療効果を高める工夫はありますか?

 A:患者さん一人ひとりの病状に応じたテイラーメイドの治療が効果を高めるカギです。

 インターフェロンの効果を左右する3つの要素を十分考慮し治療を進めることが重要です。3要素とは、@患者さんの条件とその病状(性別、年齢、肥満の有無、インシュリン抵抗性、肝線維化の進行程度と血小板数)、AHCVの状態(遺伝子型、血中ウイルス量、インターフェロン効果に関連する変異)、B治療経過です。治療開始後の血中HCV量の減り方に応じた治療期間の延長、副作用とその対策、治療に対する患者さんの持続的な意思と医療者の支援などが挙げられるでしょう。

 インターフェロンの効果を下げる、肥満、インシュリン抵抗性は食餌療法や運動で治療前に改善が可能ですが、それによりインターフェロンの効果が更に高まるかどうかは解明されていません。過ぎた飲酒は肝の線維化を進めるので控えたほうがよいでしょう。副作用が問題ですが、早期に有効な対策をとるためには患者と医療スタッフの連携が不可欠です。

 Q:HCV感染者ですが肝機能検査の値はおおむね正常です。肝炎を発病しているのでしょうか?

 A:肝機能検査についてALT(GPT)を中心にご説明します。

 ALTは肝細胞内の酵素で、肝細胞が壊れると血液中に漏れてきます。従って、血液中のALTを調べると肝炎の程度がわかります。

 HCV感染者200万人のうち約70万人はALT正常とされていますが、「正常」をどうとらえるかが問題です。

 日本では、ALTの正常値(基準値というのが正しいのですが)の上限を40〜45U/Lとしている施設が多いようです。しかし、インターフェロン治療でHCVが駆除されると、ALTは、30以下になるのです。30〜40歳ならばALTは20前後の方が多いようです。

 一方、血液中のHCVが陽性でALTが40前後の方に、肝臓の組織検査をすると肝炎がみつかることはとても多いのです。つまり、健常者のALTは基準値の上限(40〜45U/L)よりはかなり低く、40前後の方は肝炎が既に発症している可能性が高いのです。

 Q:それではHCV感染者でALT値が40位なら治療を受けたほうがよいでしょうか?

 A:ぜひ専門医にご相談ください。

 治療を決めるにあたっては、肝生検で慢性肝炎の程度を調べる事をおすすめします。肝組織の炎症が確認され、線維化が進んでいるようならインターフェロン治療に踏み切るべきです。肝生検ができない場合でも、肝臓の線維化の目安とされている血小板数が15万/ml未満なら治療を考えたほうがよさそうです。

 HCV感染が確実でALTが30前後の場合は、3カ月毎の検査を定期的にうけ、ALTが変動するかを観察してください。エコーやCT検査で肝臓の変化が無いようならば、肝炎がそれほど進行しているとは言えないし、インターフェロン治療を急ぐ必要はありません。しかし、高齢になるほど(とくに女性では)インターフェロン効果が下がるため、40歳代以降の方は近い将来の治療を念頭に専門医に相談するほうが良いでしょう。

 Q:C型肝炎では医療費助成が受けられると聞きましたが。

 A:08年4月からインターフェロン治療を受けるb、C型肝炎患者さんに対して、公的な医療費助成制度が始まりました。ペグインターフェロンとリバビリン併用療法は助成の対象です。過去にインターフェロン治療を受け効果がなかった方が再びインターフェロン治療を受ける場合にも適応されます。表の自己負担限度額を超えた薬剤、診察、入院費用に対し助成され、自己負担額は収めた地方税の金額によって決まります。治療費用は通常で月に7万円程度ですが、1〜5万円に軽減されます。申請の方法は肝臓病専門医のいる医療機関で問い合わせるとよいでしょう。

 この制度の問題点は治療費助成期間が1年間であることです。C型慢性肝炎難治例に対するペグインターフェロン/リバビリン併用では、治療に対する反応が遅い場合は治療期間を48週から72週へ延長する必要がある事は既に述べた通りです。その場合は、治療期間が1年(52週)を超えるため、後半の20週は医療費の助成は受けられず、従来の負担額に戻ることになります。(姜貞憲先生、手稲渓仁会病院消化器病センター、札幌市手稲区前田1条12丁目、TEL 011・681・8111)

[朝鮮新報 2008.7.9]