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〈朝大 朝鮮自然博物館 D化石〉 「東アジアを轟かせたマンモス」

「三葉虫」など208種、255点

マンモスの牙、骨の一部、歯の化石

 博物館に行けば恐竜にあえる、と普通の子どもたちは思っているだろう。確かに、日本に限らず世界中の自然史博物館には工夫を凝らした動植物標本もあるが、展示の目玉はやっぱり恐竜の骨格や復元像だ。日本各地で何かしら恐竜の特別展示会が開催されたりする。しかしかつて、地球に現れ絶滅した生物は恐竜だけではない。今回は、朝鮮自然博物館が誇る化石展示物について紹介しよう。わが博物館には、原生代から新生代までの動物や植物の化石が208種、255点展示されている。地質時代別に原生代、古生代、中生代、新生代の順にウリナラから送られてきた様々な生物の化石が所狭しと並んでいる。

 「三葉虫」という節足動物をご存知だろうか。約5億4千万年前から2億5千万年前まで海中で繁栄した。古代生物の中では比較的有名な部類だろう。だがその三葉虫も、ペルム紀大絶滅で地球上から姿を消した。わが朝鮮自然博物館でも祖国で発掘された彼らの化石がなんと20種、29点も展示されている。

「アジア円鋸三葉虫」石の左側に親指の先ほどの三葉虫

 中生代の生き物では魚や昆虫の化石もいくつか展示されているが、圧倒的な数を誇るのは貝類の化石である(古生代から新生代まで59種、82点)。脊椎動物と違って無脊椎動物は生きていた痕跡を残しにくい。しかし、貝は殻が堅いため少々の地質の変化や圧力にも耐えるし、腐敗もおこりにくい(さすがに身は化石にはならない)。

 新生代に棲息していた巨大動物といえばマンモス。約5千年前にはいなくなった。そのマンモスの化石が、化石展示コーナーの中央に堂々と鎮座している。歯、大腿骨、そして長い牙の化石の前で訪れた見学者はしばし足を止めるものである。東アジアの大地を轟かせながらゆっくりと歩いたマンモスを思い浮かべているようだ。大昔の生き物は動物ばかりではない。植物は、古生代から中生代にわたってシダ植物が生茂っていたようだ。化石がたくさん見つかっていることから推察できる(28種、34点)。新生代では、現在みられるメタセコイヤやモクレン、カエデなどの樹木の葉の化石が多数展示されている。その他古生代より以前、先カンブリア時代(原生代)に生息した海藻の生痕化石も2点展示されている。

理工学部2年の黄聖和さん。朝高時代からの古生物学者に憧れている

 今回は特別に人物を紹介しよう。生物学を専攻する本校の学生・黄聖和さん(20)である。「カンブリア大爆発」の謎を解明するのが夢である。未来の古生物研究者は現在、朝鮮自然博物館が所蔵する三葉虫などの化石を解析し祖国の古生代生物相の体系化を目指し研究にいそしんでいる。古代生物に想いを馳せるのは少年だけではないようだ。

 ついでにもう一人、筆者の妻は西東京のウリハッキョで音楽の講師をしている。今回、学生芸術コンクール初級部の部に出場する声楽グループのために新曲を作ったのだが、なんと主人公の少年が夢の中で恐竜時代にタイムスリップする物語。少年は大好きな祖国のイグアノドン(草食恐竜)と戯れる。進化学の第一人者チャールズ・ダーウィンが自身の進化論を発表してから今年で150年、壮大な生命のドラマはまだまだ謎ばかりである。それぞれの趣で、古代の生物たちを思い秋の夜長をすごすのも悪くはないだろう。(李景洙、朝鮮大学校理工学部准教授)

朝鮮自然博物館へは「朝鮮大学校国際交流委員会」へ電話連絡のうえお越しください。

 朝鮮大学校 東京都小平市小川町1−700、TEL 042・341・1331(代表)。

アクセス

・JR中央線「国分寺」駅北口より西武バス「小川上宿美大前行き」または「小平営業所行き」「朝鮮大学校」下車徒歩1分

・JR中央線「立川」駅北口より立川バス「若葉町団地行き」、終点「若葉町団地」下車徒歩10分

[朝鮮新報 2008.10.15]