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こころ −朴景利−

 真っ直ぐなこころをもつと
 世の中がよく見える
 洗って糊をきかせた苧麻のチョクサムのように
 物事が清々としている

 こころが欲望でゆがんだとき
 真実は見えない
 陽と月のない荒野
 世の中は真っ暗になる

 食べても食べても切りのない欲望
 無間地獄そのもの
 権力と名誉と財産を追い求める輩
 世の中はそれゆえ血生臭いのだ

 ※チョクサム 朝鮮の民族衣装で一重のチョゴリ(上衣)

 遺稿詩集「捨てて行くものばかり残って、さて、気楽だ」
(2008年 マロニエブックス)

 パク・キョンリ(1926−2008)

 慶尚南道統営生まれ。55年文壇デビューの女性の小説家。69年から94年まで、朝鮮末期から植民地支配解放までの民族史を市井の人々の立場で描いた大河小説「土地」5部作16巻を執筆。詩人の金芝河は娘婿。ほかに「不信時代」「金薬局の娘たち」「市場と戦場」などの著書がある。肺ガンで闘病中に脳卒中で倒れて08年5月5日他界。(選訳・康明淑)

[朝鮮新報 2008.10.20]