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くらしの周辺−キャリア教育のススメ

 先日招かれたセセデ女性セミナーは、子育て経験や教育問題が活発に話し合われ、笑いと感動、深い共感がギュッと詰まった刺激的な場であった。とくに興味を引いたのは地元のハッキョの中級部3年生へのユニークな進路指導だ。それは「9年間を振り返って今の自分を考える」プログラムで、1回目はキャンプに出かけて自炊やバーベキューをし、友だち同士本音を語りやすくする。隣にいる友だちについてや、9年間を共に過ごしてきたクラスという小さい同胞コミュニティについて思い感じることを話し合うそうだ。

 2回目は初級部1年の一日を再体験だ。授業を見学し、一緒に給食を食べ、世話も焼きながら9年前と今を比べて自分の成長の度合いを確かめるそうだ。その後に地元の同胞青年を教室に招き交流を深める。生徒たちは親や教師以上の共感を持って経験談に耳を傾ける。年齢も近く、悩みや不安を克服する心強いお手本になるからだろう。

 人は10代半ばから青年期を迎え、自我とそれに基づく人生目標をうちたて始めると言う。そのため幼少時代に得た知識、経験や教訓、社会関係から得たものをまとめ直す作業を行う。作業成功の鍵となるのは、自分の成長に自信を持てるかどうかだ。9年間を振り返るプログラムは、見事にこの心理・社会的発達の理にかなっている。加えてすばらしいのは、思春期の子と親の間で人生に関する会話の機会が増えたこと。日本で今キャリア教育が注目され中学生からの進路指導が重視されているが、このようにウリハッキョならではのアイデアで進めるキャリア教育は時代にマッチし、多くの同胞に喜ばれるだろうと私は思う。(李舜哲、心理カウンセラー)

[朝鮮新報 2008.11.14]