Michal.Rezek特別演奏会−金学権ピアノ音楽の世界− 西洋楽器で「アリラン」を |
「在日同胞の心情を世界に」
「Michal.Rezek特別演奏会−金学権ピアノ音楽の世界−」が13日、東京都北区の北とぴあ・つつじホールで開かれ、チェコ国立プラハ音楽院教授、ピアニストのミハル・レゼックさんが金学権さん(在日本朝鮮文学芸術家同盟員、作曲家)の曲を独奏した。 ピアノという西洋楽器で朝鮮民族の代表的民謡の一つ「アリラン」をどこまで表現できるか−期待感を膨らませながら会場につめかけた観客たち。 06年、金さんはチェコ・プラハを訪れた際、レゼックさんに楽譜とテープを送った。そして今年7月、演奏のため日本を訪れたレゼックさんが、「全曲あなたの曲で演奏会をしましょう」と提案、この日を迎えることになった。 演奏会前、レゼックさんは、「『アリラン』は以前から知っていたが、金さんから寄せられた楽譜とテープを聞いて強い印象を受けた。今までにはない新しい雰囲気だったので、ぜひ演奏してみたかった。愛情を込めて精一杯演奏したい。その思いが観客にも届けば」と話していた。
舞台には、金さんの祖国への40年間の思いが詰まったピアノ組曲「祖国と私」、アボジをはじめ在日1世たちの万感の思いが込められた童謡「故郷の空」、慶尚道の「アリラン」を素材にしたピアノのための詩曲「父の話」が上がった。 つづけて、「アリラン」を生み育んできた朝鮮の風土を絵のように描いたピアノ組曲「アリランの4つの情景」(初演)、「アリラン」メロディーを在日同胞の心情と喜怒哀楽を込め変奏したピアノのための「アリラン−我が心情的変奏曲」などが披露された。演奏が終わるたび会場からは大きな拍手が送られた。 また、曲の合間には、金さんが曲に込めた思いを解説した。 演奏会後、金さんの教え子の朴元綱さん(53)は、「チェコの音楽家らしい斬新で、熱気あふれる個性的な『アリラン』に感激した。やはり、ピアノのテクニックはすばらしかった」と語った。 金蓮喜さん(20)は、「『アリランの4つの情景』が特に良かった。外国の人が奏でる音の中からも、朝鮮民族の心が十分伝わってきた」と感想を残した。 金さんは「在日同胞の思い、心情を世界に広めたい。言葉がなくても音楽は人々の心に自然と染み渡っていく。今度は、朝鮮の曲とチェコの曲で演奏会が開ければ」と話した。(文=姜裕香、写真=文光善記者) [朝鮮新報 2008.11.25] |