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観客の感想 伝統とのすばらしい調和、心に残るアリランの響き

女声民謡独唱「リョンガンキナリ」(宋明花、左)、バリトン独唱「故郷の懐かしい家」(人民俳優・柳展鉉)

バス独唱「東海の月夜」(功勲俳優・蒋基生)

女声重唱「テドンガンの日の出」(金剛山歌劇団女性重唱団)

 金剛山歌劇団は長年、朝鮮の歌と踊りで全国巡回公演を行ってきた。朝・日関係が厳しくなるなか、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団との共演が実現し、本当に感激している。私は27年間、歌劇団の全国公演後援会の活動をしてきた。芸術を通した日本人との交流の積み重ねがついに花開いたような思いがする。団員たちはみな、朝鮮学校とは切っても切れない。私たちの財産であるこの唯一の芸術団が、日本の交響楽団と織り成すすばらしいステージを観て涙がこみ上げてきた。(権英淑・同公演実行委員長)

 日本のオーケストラが、朝鮮の曲とチャンダンをどのように表現するのか開演前からとても興味深かった。最初の曲を聴いて、朝鮮のチャンダンが表現されていることがうれしかった。音楽に国境はないと言うけれど、現実にはある。この舞台をきっかけに、今後は平壌からもオーケストラが日本へきて、日本からも平壌にオーケストラが行って、在日の芸術家も一緒に、両国の曲を演奏できたらどれほど良いか。金剛山歌劇団は日本の中でコリアのアイデンティティをしっかり持ちつつ、日本の現代感覚に合わせて演奏する工夫をしている。伝統を若い世代が現代に合わせて表現する、その努力がまたうれしかった。(近藤日佐子・ソプラノ歌手、エッセイスト)

 高音チョッテ独奏「リュグァン−流光」がとくに心に響いた。日本にいながら祖国を思い慕う、在日の人々の気持ちがチョッテのメロディーにのって伝わってきた。朝鮮語を知らなくても感じられるものがたくさんある。そこに音楽の力があるのではないか。東京シティ・フィルの演奏も、まだ見たことのない朝鮮に思いを強く馳せていたからこそ、こんなに大きな拍手をもらうことができたと思う。かつて金剛山歌劇団の舞踊部との交流があったが、ここ数年途絶えていた。今日の公演を見て、ぜひとも交流を再開すべきだと思った。いつか私たちの日本舞踊と朝鮮舞踊のコラボを実現してみたい。(谷元久美子・舞踊集団「菊の会」)

1部の指揮をとる金成哲さん(左)、高音チョッテ独奏「リュグァン−流光」(李淑任)
男声重唱「鴨緑江2千里」(金剛山歌劇団男声重唱団」

 今日の公演は、朝・日関係が冷え込む中で行われた画期的なものだった。朝・日の芸術家たちが共にコンサートをする意義は大きい。音楽的にもすばらしかったが、出演者と観客の、朝・日関係改善を願う切実な思いがひとつに重なり合った公演でもあり、とても感動した。今日この場にいられたことは幸せだ。(金殷真・神奈川中高音楽教員)

 専門分野の特性を活かした良い公演だった。60人を超すオーケストラと1000人を超す観客の前で、歌劇団の声楽家たちの歌声が響いた。「リュグァン−流光」は在日同胞のオリジナル曲でとくに心に響いた。このような曲がもっと生まれることを望んでいる。音楽を通じて共鳴し、朝鮮について考えるとても良い公演だった。(金学権・作曲家)

 チョッテの李淑任さん、心技とも最高だった。オリジナルの曲想もすばらしく、演奏は曲の実演に留まらず曲の世界を築いていた。高明秀さんの作曲も民族色をよく表しており、楽しませてもらった。前回同様、チャンセナプの崔栄徳さんには驚かされる。これからさらにどこまで芸術性を高めるのか、楽しみだ。アリランは、チョッテとタンソがよくオーケストラと調和していた。(上杉裕之・世田谷区議)

テノール独唱「わが祖国」(李康樹)

 初めて金剛山歌劇団公演を鑑賞した。美しさに包まれて響き渡るソプラノは忘れられない。最後のアリランは、日本人の私には日本の過去の植民地支配の過ちを痛切に思い起こさせる、朝鮮民族の悲しみ、怒りのように聞こえた。(成田俊一・ジャーナリスト)

 いつも金剛山歌劇団の高い芸術性に感動しているが、今日はさらに日本のオーケストラとの共演のもとで、朝鮮民族の独特のリズムと音調が見事に響き、音楽のすばらしさにすっかり魅了された。このすばらしい日朝の音楽の夕べが、平壌でも公演される日が来ることを願わずにはいられない。朝鮮民族の優れた音楽で心弾ませ、心を癒していただき、ありがとうございました。(清水澄子・朝鮮女性と連帯する日本婦人連絡会代表)

 金成哲・金慶和両指揮者が東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団に朝鮮音楽の新しい息吹を吹き込み、すばらしい調和をかもし出したことに拍手を送りたい。アメイジング・グレイスとアリランが違和感なく心に響いたことはすばらしい。出演者の質の高さにも敬服したが、とくに高音チョッテ独奏の音色は忘れられない。最後のアリランのハーモニーはいつまでも心に残るだろう。(床井茂・弁護士)

[朝鮮新報 2008.12.15]