〈第87回全国高校ラグビー〉 大阪朝高 ベスト8を前に涙 |
勇気と力与えた3戦 「第87回全国高等学校ラグビーフットボール大会」(2007年12月27日〜2008年1月7日、近鉄花園ラグビー場)に出場した大阪朝鮮高級学校ラグビー部(大阪第2)は、1回戦で新潟工(新潟)に19−14で競り勝ち、2回戦は八幡工(滋賀)に27−7で快勝。新年1日に行われた3回戦では、Aシードの東福岡(福岡)に7−80で負け、朝高史上初のベスト8進出を逃した。在日同胞と大阪府を代表し、一致団結して試合に臨んだ朝高生の勇姿は、連日会場に駆けつけ声援を送った大阪をはじめとする各地の同胞ら3000余人の目頭を熱くするとともに勇気と力を与えた。大阪朝高の全国大会ベスト16入りは、3年ぶり2回目となる。(文=李東浩記者、写真=盧琴順記者) 白熱戦制し成長遂げる
3年ぶり3回目の全国大会出場となった大阪朝高は、初戦で新潟工と対戦し、トライを取り合う白熱戦を展開した。 大阪朝高は前半3分、ゴール直前の中央ラックから9番スクラムハーフの金成太選手(高3)が、1番プロップの張和裕選手(高3)につなぎ先制トライを奪った。 30分には右中間ラックから右へつないだボールを15番フルバックの李一貴選手(高3)が受けトライしリードした。 後半、大阪朝高は8分に追いつかれたが、終了間際の28分、左のラックから右へと大きく展開し、厳しいマークを受けていた12番センターの高健二選手(高3)が相手の一瞬の隙をついて送ったラストパスを李一貴選手が右隅へトライし、これが決勝点となった。 相手に徹底的に研究されていた大阪朝高だったが、自慢の展開力で2回戦進出を果たした。 1回戦終了後、圧力、スピード、サポートなどにおける修正点を再確認したのちに臨んだ八幡工戦では、終始敵陣で試合を有利に進めた。 まず、前半7分にゴール前右のラインアウトからモールで押し込み、2番フッカーの尹淳樹選手(高3)が先制トライ。 19分にもゴール前左ラインアウトから金成太選手がトライを決めた。後半4分には右中間ラックから左へ展開、11番ウイングの金志昇選手(高2)が左中間にトライした。 22分には13番センターの金翔太選手(高3)がペナルティゴールを決めたのに続き、24分には後半から交代出場した25番ロックの張泰堉選手(高3)がトライ、相手を圧倒した。 この試合で大阪朝高は、有効なキックであらゆる攻撃パターンを披露し勝利を呼び込んだ。 初のベスト8進出をかけて臨んだ3回戦の相手は、今大会屈指の強豪、東福岡(前回準優勝)。 大阪朝高は前半23分、左中間ラックから6番フランカーの白哲和選手(高3)が8番ナンバーエイトの趙顕大主将(高3)につないだのが唯一のトライとなった。東福岡に前後半で6トライずつ決められ、敗退した。 培った精神生かしたい
「全国大会は生徒らを育ててくれた」−大会を振り返り、こう指摘した大阪朝高・呉英吉監督(39)。呉監督は、「何よりも物心両面で支えてくれた同胞、日本の人たちに感謝したい。1、2年生は全国大会で何が必要かということを知った。これは大きな収穫だった」と話し、「3年生には胸を張ってもらいたい。大阪朝高はまだまだ力不足。練習するしかない」と唇を噛んだ。 大会中、しばしば「大阪朝高土地問題」への注目度を高めるためにも勝たなければならないと話していた選手たち。 趙顕大主将は、「この間、応援してくれた同胞、日本の人たちに感謝したい」と涙をこらえ声を振り絞った。「大阪朝高がやってきたことは2回戦までしか通用しなかった。しかし、後輩らは花園で偉業を達成してくれるだろう。ラグビーを通じて培った『諦めない、くじけない』の精神を生かし、何事にも全力で挑んでいきたい」と語った。 会場には、「弱い年代」と評されてきた高3の選手らと「家族よりも長い時間を過ごしてきた」とほほ笑むラグビー部マネージャーの尹愛理さん(高3)の姿もあった。部員を最後まで信じた全国大会だったという。「14人の同級生にはベスト16まで連れてきてくれてありがとうと言いたい。自分は幸せ者です」とさわやかに振り返った。 闘志と意地がぶつかりあう花園で、民族教育を受けて育った大阪朝高の選手らは、その気骨を発揮し、全国で16チームのみが知りえる喜びと悔しさを味わった。 また選手らは、同胞の温み、そして同胞社会を支援してくれる日本の人々の熱意を強く感じていた。 [朝鮮新報 2008.1.7] |