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第51回大阪同胞マラソン大会 雨にも負けず完走

タスキをつなぐ選手たち(駅伝初級部男子)

 大阪の同胞が名物の一つに選ぶ、第51回大阪府同胞駅伝・マラソン大会が2月3日、長居陸上競技場で行われた。

 この日の天気は雪のち雨。マラソンに適さない悪天候にもかかわらず、大阪府下の朝鮮学校生徒、朝青員、同胞ら1800余人が集まった。

 競技は初級部女子、青年女子、一般男子のマラソンと中級班対抗、初級部男子、青年男子の駅伝の6種目で行われ、計65チームが参加した(マラソンは青年女子以外、団体戦)。

 マラソンは、長居第2陸上競技場の3.4キロにおよぶ外周マラソンコース、駅伝は5人が同コースをそれぞれ走りタスキを回した。

優勝した生野初級(マラソン初級部女子)

 会場のスタンドや外周沿いでは子どもや孫、アボジや兄弟などの応援に駆けつけた同胞、生徒たちの応援合戦が繰り広げられた。

 競技に先立ち行われた開会式では、大会開催実行委員長である大阪体協・李宇眞会長(53)があいさつした。

 李会長は、同大会が府下の同胞を団結させる場として一役かってきたことにふれながら、「50年続いた歴史あるこの大会を新しい世代が受け継ぎ、引き続き同胞運動の活性化につながる場として盛りあげていこう」と述べた。

 開会式に続いて、オープニングセレモニーとして府下の専従活動家らによる競技場のトラック一周走(400メートル)が行われた。

勢いよくスタートするアボジたち(マラソン一般の部)

 スタンドからは、各自の居住地域の専従活動家を応援する同胞たちの声が響いた。

 1位でゴールテープを切った生野東支部の宋東輝委員長(44)は、「同大会は府下の同胞が集まる年始めの重要な行事。大会を通して肉体的、精神的に気合を入れて気勢を上げるきっかけになる。専従活動家が先頭に立ち、同胞社会の明るい未来に希望を与えられるようがんばりたい」と語った。

 一向に止まない雨にうたれながら、初級部女子のマラソンがスタートした。

 駅伝中級部班対抗では東大阪中級学校2年2班チーム、マラソン一般男子では北大阪朝鮮初中級学校初級部アボジ会、駅伝青年男子では東淀川Aチーム、マラソン初級部女子、駅伝初級部男子では共に生野朝鮮初級学校がそれぞれ優勝した。青年女子の部では金瑛美さん(24)が優勝に輝いた。

アボジや子どもに声援を送るオモニたち

 東淀川Aチームは今年で7連覇。普段は朝青のサッカーチームで、毎年オフシーズンを利用してマラソン大会に出場を決め冬は練習メニューをマラソンに切り変えている。金哲生さん(27)は「マラソンを通してチームの結束力をよりいっそう高められた。目標は10連覇」と感想を述べた。

 青年女子の部で3連覇した金さんは「毎年朝青活動の一環として地域の朝青員らと参加している。正直、マラソンは苦手だが、出るからには完走することを朝青員らと約束し、みんなで練習に励んだ。年に一度のこのマラソン大会は朝青支部の団結力を発揮できる場所」と述べ、来年の優勝は後輩に譲りたいと語った。

 一般の部、青年の部ではメダルとトロフィー、賞金が用意された。

一位でゴールテープを切った東淀川Aチーム(駅伝朝青男子の部)

 李宇眞会長によると、年々アボジ会やアボジ蹴球会のエントリーが増えているそうだ。その理由は賞金を獲得し学校に寄付するためだという。

 李会長はアボジたちの学校や子どもたちへの想い、民族教育を守っていこうとする意気込みは強いと語る。

 また、子どもたちの前で恥はかけないと、禁酒して練習に励んでいたという。

 アボジたちはオモニたちの黄色い声援、子どもたちの「アッパ、がんばれ!」の言葉に励まされ懸命に走り抜き出場した12のアボジ会、アボジ蹴球会の選手たち全員が完走を果たした。

 マラソン一般男子の部で総合優勝に輝いた北大阪初級アボジ会の主将を務める李竜彦さん(43)は、「小さい学校だから名を広めることを目的に出場した。去年は2位に終わったので優勝できてうれしい。今回は娘も参加したのでアボジのプライドをかけてがんばった。賞金はもちろん学校に寄付する」と笑顔で語った。

来年は3世代が集う場に

 大阪同胞マラソン・駅伝大会は3世代に渡って親しまれている。

 会場には孫の応援に駆けつけたハラボジ、ハルモニの姿も少なくなかった。

 年に一度のスポーツ祭典として親しまれ、マラソンを通じて同胞たちに活力を与えてきた。

 親子そろって出場した選手も少なくない。

 孫の応援のために10年見に来ているという沈鐘愚(77)、趙月先(71)夫妻は、「マラソンは根性がないとできない。孫たちの最後まで諦めず完走する姿を見るととても元気になる。息子もこの大会に参加していた。今では孫が出場している。とても感慨深い」と話した。

 李宇眞会長は「総連結成後まもない頃から同胞たちの手で開催されてきた大会だ。同胞の歴史に深く刻まれているこの大会を、この先も50年続けられるように新たなカラーを出していきたい」と話した。

 また、来年は3世代にわたり出場した家族をこの場に招き、表彰する企画を立てていると話す。3世代が一堂に会し、50年の歴史の重みをみんなで共有することで同胞コミュニティーの一つの場として世代を超え、同胞が集い楽しめる場にするのが狙い。李会長は最後に「健康診断や体力測定も企画している。なにより健康な体が一番。同胞社会が固く結束できるのは健康な体があってこそ」とほほえんだ。(文と写真=盧琴順記者)

[朝鮮新報 2008.2.20]