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蹴球協会 金光浩副会長、李康弘理事長に聞く

前途有望な朝鮮チーム、サッカー東アジア選手権

 サッカーの東アジア選手権(2月17〜23日、中国・重慶)で、朝鮮女子は日本に2−3、中国に0−0、南朝鮮に4−0で2位、男子は日本に1−1、南朝鮮に1−1、中国に1−3で4位となった。男子チームのコーチとして大会に参加した在日本朝鮮人蹴球協会・金光浩副会長(52)、朝鮮サッカー協会副書記長として同行した蹴球協会・李康弘理事長(44)に話を聞いた。

潜在力を確認

鄭大世選手の活躍が光った朝鮮男子代表チーム [写真=聯合ニュース]

 昨年12月から現在のメンバーで始動した男子は、今大会に先立つFIFA2010年W杯南アフリカ大会アジア3次予選の初戦(2月6日、対ヨルダン)で「しっかり守り逆襲する」というスタイルを確立した。闘志、フィジカルの強さが光った。同予選の合間に行われた今大会は、アジアの3強に挑戦し、チームの潜在力を確認する場として収穫は多かったが、課題も明白になったと言える。

 金副会長は今大会、対日本戦の前半を例に挙げ「チームの動きが一番良かった」と指摘する。日本が警戒しDFラインでボールを回した際に、朝鮮はラインを全般的に上げ、攻撃時には5−4−1のフォーメーションを3−6−1に切り替える監督の意向を選手らがスムーズに実行した。前半6分の鄭大世選手の得点は、こうした動きの良さから生まれた。

 攻守の切り替えへの認識をさらに高め、鄭大世選手に絡む場面をいかに増やせるかが課題と言えそうだ。

 一方、アジア最高レベルを誇る女子は、年初に代表チームが編成された。今大会は2位だったが「ハイレベルな戦術を備えており、個々人のレベルもずばぬけていた。前途有望」だと李理事長は語る。課題として、セットプレーへの対応、1−0、2−1など「1点差時の試合の運び方」をあげながらも、国際大会での経験をさらに多く積んでいけば解消されるだろうと指摘した。

 また、女子はフィジカルの強さに加え、技術が向上していると話す。チームの目標は北京オリンピック4強だ。

在日選手の活用

「北南戦」を制した朝鮮女子代表チーム [写真=聯合ニュース]

 今大会に召集された安英学(29)、梁勇基(26)、鄭大世(24)の在日3選手は、朝鮮代表選手たちの潜在能力にあらためて驚いていたという。

 大会では、鄭大世選手がワントップとして2得点をあげ、得点王となった。李理事長は「器用ではないが、体の使い方が抜群にうまくボディバランスが良い。FWとしての闘志、前に進む勇気をもっており、チームのエースだ」と高く評価する。中盤に下がったときのミスも減り、味方にボールを預けシュートに持っていく能力は「アジア最高水準」にあるという声も聞かれたという。

 また、しっかりとボールをつなぎ、防御に専念する安英学選手の老練なプレーは、監督からの信頼も厚い。シュート力、中長距離のパスの正確さに優れ、スピーディな流れを作る安選手について李理事長は「ディフェンス力があり、ハードなハートを持っている」と指摘する。チーム内では空中戦を制し、ボールをつなげる役割を果たす。今大会では鄭選手へのアシストをはじめ得点シーンを演出するなどチームに貢献した。

 一方、梁勇基選手は攻撃的な中盤として、得点につながるラストパス、スルーパスを得意とする。今大会では出場時間が限られたが「これから先、W杯予選の期間に良い経験を積み、チャンスがあればポジションを勝ち取ってもらいたい」(李理事長)。

W杯に向けて

 男子にとって、W杯予選に向け貴重な経験となった東アジア選手権。短期間の集中戦は、同予選で結果を残すうえで、このうえない経験であったと李理事長は指摘する。

 今後、ホン・ヨンジョ選手など実力のある選手が加わる。また、若い選手らを招集する予定もあるという。李理事長は、「李漢宰選手(25、サンフレッチェ広島)をはじめとする在日選手らは、所属チームでレギュラーを勝ち取り、朝鮮代表に招集されるよう準備してもらいたい」とエールを送る。

 金副会長は、短期間で3戦を消化した今大会に比べ、W杯予選は日程にもゆとりがあり、「さらに力が発揮できるだろう」と確信する。

 「安、梁、鄭選手のように朝鮮学校を卒業して朝鮮の代表になれるよう各朝鮮学校の教員らは選手育成に変わらぬ情熱を注いでほしい。朝鮮学校の生徒らには在日3選手のように、朝鮮代表として国際舞台で活躍する夢を持ち続けてもらいたい。蹴球協会は、W杯の晴れ舞台に在日選手がひとりでも多く立てることを願ってやまない」(李理事長)

 1966年以来、二度目のW杯本選出場を目指す朝鮮男子代表は26日、南朝鮮との3次予選に臨む。(浩)

[朝鮮新報 2008.3.5]