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第14回在日同胞大登山大会 北アルプス・立山 191人が参加

残雪の中、雷鳥に目を細める 雨風にも負けず、一歩一歩

「来年、百名山制覇を目指す」

 第14回在日同胞大登山大会(主催=在日本朝鮮人登山協会、金載英会長)が3〜4日の両日、富山県の立山(3015メートル)で行われた。17都道府県から191人の同胞登山愛好家らが参加した。

1年ぶりの再会に熱

「どこまで行こうか?」−地図を見ながらコースを探る
写真をパチリ。道中にはきれいな花が咲き誇っていた

 初日は地域ごとに現地へと向かった。関東の同胞らは、午前9時半、東京・新宿駅を出発。バスに揺られること6時間半、目的地に到着した。

 宿泊先のホテルに一同が集い、まずは温泉で疲れを癒した。

 夜、宴会に先立ち、今年5月にセブン・サミットを制覇した在日同胞登山家の鄭義哲さん(36)による「エベレスト登攀報告会」が開かれ、プロジェクターで写真とともに登頂過程を振り返った。

 また、金会長が鄭さんのエベレスト登攀支援に関する活動報告を行った。

 鄭さんの登攀は、金会長を中心にした、在日と南の登山愛好家らの物心両面からの協力のもと成功した。

 鄭さんは、「同胞とともに登れてうれしい。また、青少年と山を通して交流を深め、登山の知識や体験を与えられれば。

「ちょっと一休み」−夫婦での参加者も多数

 エベレスト登攀では、本当に多くの同胞に支えられた。その恩を忘れずに、同胞社会に貢献していきたい」。

 セブン・サミット、日本百名山を制覇した鄭さんは、現在、日本の三百名山に挑んでいる。

 報告会後、宴会が開かれ、1年ぶりに再会した参加者らは、総連富山県本部が準備したキムチとおいしい料理、お酒に舌鼓を打ちながら、交流を深めた。

 金会長があいさつをし、15回を迎える来年、6.15共同宣言、10.4共同宣言を支持し、6〜9月の4カ月間に各地の同胞らで手分けして、日本の百名山を登ることを提案すると、参加者らは拍手で賛同した。

雨風の中でも笑顔で手を振り下山する参加者ら

天然記念物の雷鳥と遭遇し思わず笑み

 今回、「大韓山岳連盟」のメンバー10人が参加した。ノ・イクサン副会長は「会が結成され十数年。このようにたくさんの同胞登山家が集まった光景に感動している。

 近い将来、漢拏山から白頭山まで行き来できる日がくるはず。その日の一日も早い到来を目指し、微力ながら共に努力しよう」と呼びかけた。

 各地域の紹介とともに代表らが意気込みを語り合った。終盤は、「登山協会の歌」や東海朝鮮歌舞団の公演で盛り上がり、参加者らの踊りの輪が広がった。

 「親孝行を」と、夫、姑とその姉妹らと兵庫県から参加した石静純さん(54)は、「月に2回、友だちと健康のために登山をしている。親しい人たちと山の魅力を共有したくて来た。もっと若い世代も集うことを願っている」と話した。

 3回目の参加となった任珠植さん(東京、68)は登山を始めて15年。「ここに来ればただ山に登るだけではなく、各地の同胞や友だちと会える楽しみがある。この会には、70〜80歳代の先輩がいる。年だといって座り込まずに、いくつになっても体が許すかぎり登り続けたい」と語った。

互いに励まし合い

「やっぱり登山は最高!」−大自然の中では疲れも吹き飛ぶ
在日同胞登山家の鄭義哲さん(写真中央)はみんなの人気者

 2日目、早朝から大雨。一行は午前4時半にホテルを出発した。バスでらせん道をぐるぐると登り、室堂ターミナル(2450メートル)に到着。

 当初は、主峰の雄山(3003メートル)登頂を予定していたが、雨が止む気配はなく、あえなく目標を一の越山荘(2770メートル)に変更した。リュックを背負い、雨風防備をし、8時頃から参加者らの半分が地域ごとに目的地を目指し、ターミナル周辺を散策した。

 激しい雨風と前途をはばむ霧を分け、一歩一歩進んだ。道中、山道に咲くゼンテイカや特別天然記念物の雷鳥が目を楽しませてくれた。雪で覆われた道に滑り転びながらも、共に励まし手を取り合い登り、下山した。

 これまで一度も悪天候に見舞われたことはなかったが、今年は登山の間、終始大雨が降りしきった。頂上で絶景を眺め、おいしい空気とともにおにぎりはほおばれなかったが、参加者らは「来年もまた!」と笑顔で帰路についた。

 長野の李賢鉄さん(70)は、「山にはいろんなものが付きもの。あいにくの雨だったが、昨日の宴会でたくさんの同胞と親ぼくを深めることができた。

 今年は長野から3人しか参加できなかったから、来年はもっと呼べるようにしたい」と語った。

外は大雨。やむなく室内で記念撮影

 初参加の全美夏さん(東京、30)は、鄭義哲さんの快挙の知らせに刺激を受け、今回の参加を決意。「こんなに大勢の同胞らが、同じ目的を持って集うことはすばらしいことだ思う。明日は、富士山に登頂する」と笑顔で話した。

 来年は、「百名山を制覇しよう」と目標を確認し合った。各地で多数の登山会を行い、その成果を持って、来秋、上高地(長野県)の穂高連峰で15回を盛大に開催する予定だ。(文=姜裕香、写真=盧琴順記者)

[朝鮮新報 2008.8.11]