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〈2010年W杯最終予選グループB〉 中東の気候克服がカギ

朝鮮のサッカー解説者 李東奎さんに聞く

 6日からサッカーの2010年W杯アジア最終予選が始まった。朝鮮は1966年のイングランド大会以来の本大会出場を狙う。最終予選を前に、朝鮮を代表するサッカー解説者の李東奎さん(72、体育科学院体育科学研究所サッカー研究室研究員)に話を聞いた。

 朝鮮はグループBに属し、南朝鮮、イラン、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビアの各チームとホーム&アウェー方式で対戦する。W杯にはグループA、Bの1、2位は無条件で、そして3位同士で行われる5位決定戦の勝者とオセアニア州1位のチームが対戦し、その勝者が出場できる。

北と南の接戦が繰り広げられた3次予選(3月26日、上海、撮影=盧琴順記者

 国内で注目を集めているのは、南朝鮮との試合だ。朝鮮は南朝鮮と3次予選で2回対戦し、今年2月の東アジアサッカー選手権(中国・重慶)でも競った。過去3回の結果はすべて引き分けだった。互いに研究し尽くした相手だけに、最終予選でも接戦が予想される。

 李さんは、朝鮮にとってとくに警戒すべき相手としてイランを挙げた。イランとは前回ドイツW杯のアジア最終予選(05年)でも対戦し、2戦2敗だった。

 しかし、05年当時と現在の朝鮮の戦術はまったく違うと指摘する。当時は攻撃的なサッカーだった。それがプラスに出た反面、相手チームのカウンター攻撃による失点も目立った。

 「キム・ジョンフン監督(現在の朝鮮代表監督)がDF出身だということが影響しているのかもしれないが、試合進行の出だしにDFを配置した。攻撃一辺倒のサッカーが必ず良い結果を生むとは限らないという判断だ」

 ディフェンスで相手のボールを奪い、スピードある攻撃で得点する「勝利の方程式」は、3次予選で効果を現わした。李さんによると、それを可能にしたのが鄭大世選手(Jリーグ・川崎フロンターレ)の存在だという。

 「鄭選手の動きは敏しょうで、独りでも攻撃の突破口を開ける能力がある。彼がチームに加わってから攻撃の体系が変化した」

 朝鮮は3次予選を無失点で突破した。得点は4。全6試合の成績としては満足できるレベルではないともいえるが、李さんの分析は違う。

 「鄭選手は、ボールが朝鮮側陣地にあるときも、相手陣地の空間を狙っている。なので、相手はつねにカウンター攻撃の脅威にさらされる」

 3次予選で、鄭選手自身は得点できなかったが、ホン・ヨンジョ選手(4.25体育団)が3得点した。李さんはこれについて、鄭選手がいたからだと指摘する。

 「鄭、ホン両選手は得点能力が高いので、相手側ディフェンスはこの2人にとくに神経を使う。ここに得点チャンスが生まれる。3次予選は偶然ホン選手にその機会がきた。2人は、アジアでも高いレベルの選手だ」

 現在、李さんが考える不安要素は2つ。

 一つは6日、アウェーで行われるUAEとの初戦に鄭選手がイエローカードの累積で出場できないことだ。初戦にかける意気込みはどのチームも大きい。初戦での勝点の有無がその後の流れを左右することもあるからだ。李さんは、初戦から勝点3、少なくとも引き分けで勝点1はとらなければと語る。

 もう一つは中東の気候だ。慣れない気候条件で朝鮮の特徴である忍耐力をどこまで発揮できるかがカギとなる。

 「不安要素はどのチームにもある。接戦が予想されるグループだが朝鮮が本大会出場を勝ちとるのは不可能なことではない」(茂)

[朝鮮新報 2008.9.5]