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朝鮮創建60周年記念 在日朝鮮学生中央体育大会 各地で熱戦繰り広げる

 3〜5日にかけて駒沢競技場や朝鮮大学校をはじめとする各地で行われた朝鮮創建60周年記念在日朝鮮学生中央体育大会。およそ2500人の生徒らが各種目に参加し、熱戦を繰り広げた。

■陸上

4冠を達成した東京朝高の金瑞瑛選手(写真左)とマネージャーとして陰で支えた李成美さん(写真右)

 駒沢競技場で行われた陸上の走り幅跳び、100メートル、200メートル、4×400メートルリレー(合同)で金メダルの金瑞瑛選手(高3)は東京朝高陸上部の主将を務める。

 ひとつでも多くの競技に参加し、自身最後の中央体育大会を締めくくり、唯一の女子部員というプレッシャーを跳ね返そうと、練習を再開し臨んだ走り幅跳びでは自己ベストの4メートル69を記録。100メートルでは目標の大会記録に及ばなかったものの、13秒ジャストで走りきった。

 朝高での陸上生活3年間の支えは、西東京第2初中から12年来の同窓生でマネージャーの李成美さん(高3)の存在だった。「瑞瑛の陸上への思いが記録に現れるよう努めてきた。努力はかならず成果として現れるということを、私も知ることができた」と李さんが話すと、「朝鮮創建60周年の記念大会で、周りへの感謝の気持ちを示せた」と金選手は笑顔で応え、今後も在日陸上界と関わっていきたいと白い歯を見せた。

 一方、神奈川の鄭麗奈選手(中級部1年)は1500メートル、800メートル、4×100メートルリレーの3種目を制した。1500メートルは自己ベスト(5分9秒4)だった。

 練習内容をノートにチェックし続ける部員もいる北海道では、中高級部が「道険笑走」のスローガンを掲げる。5000メートルで金メダルの徐尚輝主将(高2)は「支えあっている。『道険笑走』のおかげで困難を乗り越えている」と部の自慢話をしてくれた。

 在日本朝鮮人陸上競技協会の具永生顧問(73)は「合同合宿を行い指導者のレベルをさらに向上させ3人目の国家代表選手を育てたい」と語った。(浩)

■サッカー(中級部)

東大阪×神戸の中級部決勝

 駒沢競技場で行われた中級部サッカー決勝は、守備重視の東大阪と身体能力の高さを披露した神戸が対戦し、部員73人を誇る東大阪が2−1で制した。2年連続17回目の優勝だ。

 東大阪は試合の流れをつかみだした前半26分に夫和宗選手(中3)からのパスを中央でうけた康竜輔選手(中3)が先制。しかし神戸もその2分後にFKから金太洙選手(中3)が押し込み追いついた。

 後半はリズムある動きで東大阪が試合のペースを握り、12分にはFKからのボールを金秀勇選手(中3)が絶妙のタイミングで頭にあわせ、決勝点を決めた。

 練習どおりの動きで決勝点を決めたと胸を張った金秀勇選手は、「狙っていた。得点後は気を引き締めた。優勝はやっぱり最高!」と笑顔。攻撃の起点、黄将健選手(中3)は「2年連続の優勝は、また格別」と喜んだ。また、3年生が中心となりベンチの選手とともに団結してきたと振り返った李相熙主将(中3)は「大阪朝高でもサッカー部に所属し全国優勝をめざしたい」と話していた。

 守備をはじめ東大阪への評価は高かったものの、「しっかりとしたあいさつができなければプレーの質も上がらないというスタンス」で、今後も育成したいとチーム関係者は話していた。

 一方、1部進出が目標だったという神戸・李采憲主将(中3)は、「決勝の内容が一番だった。悔いはない」と会場をあとにした。(東)

■バレーボール

女子中級部決勝の東大阪×西播

 埼玉・草加市スポーツ健康都市記念体育館で行われたバレーボールは、中高級部の男子、女子が3日間に渡って熱戦を繰り広げた。

 高級部男子と女子は、リーグ戦で順位を決めたうえで、準決勝と決勝が行われた。

 男子では、ここ数年「西高東低」が続いていた流れを断ち切るかのように、東京が大阪、神戸をセットカウント2−1で下し決勝に駒を進めた。決勝の相手は、大阪を下した神戸。東京は、センターからの速攻と左右からの攻撃で序盤からポイントを重ね、神戸を2−0で下し、16年ぶりの優勝を果たした。

 李勇燦主将(3年)は、「みんなで練習してきたかいがあった。これまで大切な試合でいつも負けていたが、今回はここぞという試合で勝つことができて本当にうれしい」と語った。

 鄭燦吉監督も、「3年生の6人は、人数が少なくて部の存亡が危ぶまれる中でも、1年の時から一生懸命練習してきた。彼らががんばったおかげで、今では部員数も大幅に増えた。今回の優勝は彼らにとって最高のごほうびだ」と感慨深げに話した。

 一方、女子では大阪が安定した強さを見せつけ10連覇を達成。また、中級部男子では東大阪が、女子では西播がそれぞれ優勝した。

 バレーボール協会の姜秀宗会長は、生徒らの健闘を称えながら、「ルール改正後、バレーボールはプレーが単調になりパワー化の傾向があるが、だからこそスタミナをつけるための日頃の地道なトレーニングがより重要になってくる」と締めくくった。(松)

■バスケットボール

大阪が優勝を果たした高級部女子

 駒沢体育館と駒沢屋内球技場で行われたバスケットは、高級部と中級部の男子と女子がそれぞれ熱戦を繰り広げた。

 高級部女子は、勝利数で優勝を決めるリーグ形式で行われ、3日目に行われた東京と大阪との最終試合が事実上の決勝戦となった。東京は3連覇を目指し、大阪は3年ぶりの優勝を狙う戦いとなった。

 大阪は、序盤から守備から攻撃への切り替えが早いプレーで得点を重ね23−14でリード。第2、第3クオーターを経て、46−43とリード。最終クオーターでも東京のミスを逃さず着実に得点を重ね、69−49で3年ぶりの優勝を果たした。

 大阪朝高の梁永実主将は、「1年の時から決勝で東京に負けていた。その悔しさをバネにみんなで汗を流して練習に励んだ。『打倒東京』を目標に掲げて今日の試合に臨み、チーム一丸となって全力で勝ち取った結果だと思う。本当に嬉しい。」と涙を浮かべた。

 一方、男子は東京が106−51で大阪を下し5連覇を成し遂げた。東京の金修吉主将は、「勝つ自信はあった。今日はみんなで努力してきた成果を惜しみなく発揮できたと思う」と優勝を喜んだ。

 中級部男子では尼崎朝中を下した九州朝中が、女子では東京朝中がそれぞれ優勝した。

 籠球協会の康勲会長は、「バスケットは毎年、参加校が増えている。生徒たちは日頃の努力と練習の成果を発揮していた」と語った。

 決勝戦には、bjリーグの河内敏光コミッショナーと東京アパッチの青木康平選手が訪れ、康勲会長らと共に観戦した。(琴)

■卓球

中級女子団体で優勝した京都

 川崎市等々力アリーナで行われた卓球は、団体、ダブルス、シングルスが中・高級部男女でそれぞれ行われた。

 中級部男子団体戦の決勝戦は東京対東大阪。気合を全面に押し出す東京に対し、東大阪は終始冷静に試合を進め安定した力を発揮。高英秀、韓俊植、金昌秀、高熹成選手(中3)が3勝を得て優勝した。

 キャプテンの高英秀選手は、「勝つのがあたり前と名門のプレッシャーがあった」という。それに加え、日本の大会が終わったことで練習での厳しさが薄れていたことも心配の種だった。

 だが、後輩たちに良いプレーを見せようと3年生が中心となって一致団結し優勝を目指した。「優勝できて本当によかった。とてもうれしい」と安堵した。

 中級部女子団体では、京都が優勝した。2年生二人と1年生一人のチームだ。1年生の朴貴禮選手は「一戦一戦最後まで全力でプレーすること」を心掛けた。

 滋賀初級出身の3人は初級部4年生のときから卓球に打ち込んできた。それだけに結束は固かった。普段は男子や高級部の先輩と一緒に練習している。オリンピックに刺激を受け、さらに「燃えた」という。

 朴淳姫選手(中2)は「朝鮮学校の大会に出場したのは初めて。同じ朝鮮学校の選手とたたかえて本当に楽しかった」と語った。

 鄭扇伊選手(中2)は「卓球はすごく頭を使うスポーツ。ボールの回転を見極め、次にどこに打ち返すかを瞬時に判断する。だから勝ったときの喜びも大きい」と卓球の魅力を語った。(泰)

■野球

白熱した大阪×東京

 野球は4日、兵庫県の薬業鳴尾浜スポーツセンター野球場で行われ、東京朝高と大阪朝高が2戦し雌雄を決した。

 第1試合では、4回表に長打を絡め東京が2点を先取、その裏、大阪が1点を返した。最終回、1点を追う大阪は8番からの打順。2死まで簡単に追い込まれた大阪だが、ここで意地の三塁打を放つ。同点のランナーを三塁にし、俄然盛り上がる大阪ベンチに呑まれた格好で、東京はこの局面で痛恨のエラー、1点を献上してしまった。続くバッターを三振で抑えるも、東京としては手痛い引き分けとなった。

 第2試合、両校は二人目の投手を投入、総力戦となったが、勢いは大阪にあった。大阪は、東京の守備の乱れをついて得点を重ね、11−7とし、大阪が1勝1分で優勝した。

 4番打者を務め、第1試合ではキャッチャー、第2試合ではピッチャーとマルチな活躍を見せた大阪の尹豪主将(3年)は、「チームが一丸となったことで優勝することができた。いいリズムで第2試合を迎えたられたことが、勝利に近づく大きな要因になった」と話した。そして、今後は後輩たちのためにも、同胞社会での野球の普及活動に励みたいと述べた。

 金賢俊事務局長(大阪朝鮮野球団、西神戸商工会)は、「参加校が少ない中でも選手たちはモチベーションを保ちながらよいプレーを見せてくれた。このような選手たちのためにも、野球が活性化するよう地域から尽力していきたい」と語った。今大会は、高野連がバックアップした。(丘)

■柔道

中級部の試合も行われた

 柔道は3日、大阪朝鮮文化会館で行われた。

 中級部、高級部ともに団体戦、個人戦(階級別、無差別)で勝敗を競った。

 中級部団体戦には、東大阪鼻、東大阪匹、北大阪、京都の4校が出場。北大阪と京都は合同チームでの出場となった。試合は関係者の予想を裏切るカタチで合同チームが快進撃を見せた。東大阪鼻に続いて、東大阪匹を破り2連勝で優勝を決めた。

 高級部団体戦には東京、京都、大阪の3チームがエントリー。大阪が東京、京都に勝ち、無傷での優勝を果たした。

 大阪の朴志成主将(3年)は、「高級部最後の大会で金メダルを獲得できてとても嬉しい。チームメイトと力を合わせて勝利をつかめた」と話した。

 朴志成主将は続く無差別級でも見事トーナメントを制し、金メダルを獲得した。

 中級部の無差別級では、団体戦でも大活躍を見せた京都の金蒋吾選手が優勝した。金蒋吾選手はまだ1年生だ。柔道経験もまだまだ浅い選手だが準決勝、決勝では文句なしの一本勝ちを見せた。

 金蒋吾選手は、「1勝が目標だったけど、試合が進むにつれ、もっと勝ちたいと思うようになった。柔道はとても楽しい」と、微笑んだ。

 柔道協会副会長で、大阪府柔道協会会長を務める康浩奉氏は、「今大会には中級部、高級部ともに1、2年生が多く参加した。これは今後の発展に不可欠なことであり、よい展望と言える」と述べ、国家選手の育成を目標に活動を強化していきたいと強調した。(尚)

[朝鮮新報 2008.9.10]