〈在日バスケ協会のページ〉 ヘバラギCUP、中央大会優勝監督のコメント |
強いチーム作りの秘訣 ヘバラギCUP(初級部)、中央大会(中高級部)が終了した。毎年恒例の優勝監督コメントをいただいた。いわゆる「強いチーム」の監督の気持ちを共有できれば幸いだ。 ■初級部男子 北九州・李明哲監督 ヘバラギCUPでの3度目の優勝を今年度最大の目標にして、北九州ミニバス連盟の公式戦で技術と精神面を鍛錬し、大会に挑んだ。昨年度から参加した北九州ミニ連公式戦ではつらい思いもしたが、今年度は保護者の温かい応援のなか、2部リーグでベスト4入りし、実力をつけてきた。 また、本校ディフェンスの生命線であるオールコートプレス習得のため、毎日30分以上コート内を走り回り、基礎体力をつけた。5月までは、基礎体力とマンツーマンディフェンスを徹底的に鍛えた。その後、ミニ連の大会経験や試合後の研究会などで徐々に自信と経験を積み、大会では毎試合、一生懸命最後まで走りぬくことを目標にした。 決勝戦は、団結し互いに励ましあいながら試合に臨んだ。負傷者の続出などのアクシデントも乗り越えて、満身創痍のなか勝ち取った勝利に「やればできる!」ということを学んだ意義深い3日間であった。 優勝カップを九州に持ち帰ったことが、同胞たちの元気の源になればうれしい。 ■初級部女子 埼玉・洪貴恵監督 1年前の決勝戦。残り2秒、1点差でリード。勝利目前。しかし、審判のあげたグーのディレクション。まさかのファウル。相手の2スロー。よもやの逆転敗退…。あの悪夢から1年が過ぎた。 冬の選手権も制することができず、春の新人戦でリベンジを果たした。しかし、本当にほしいのはヘバラギCUP覇権! 正直、今年は6年生が3人という条件のなかで優勝は狙えないと思っていた。 そんな考えが間違えだと諭してくれたのは、紛れもない3人の6年生だった。子どもたちの底力、根性、そして何よりも最高のチームワーク。速攻と粘り強さを生かすため、たくさんボールに触れて攻撃パターンも自分たちなりに考えて実践した。 決勝戦。去年と同じカード。正直、「勝てる!」よりも「どうしても勝ちたい!」であった。ブザーの瞬間、本当にうれしかった。最高の瞬間だった。 実は大会のたびにこっそり(?)メダルを一つもらっている。また一つ、自分が学生時代につかんだメダルよりも何倍もの輝きを放つ最高の金メダルが増えた。教員になって、この子たちと出会えてよかったと心底思う。 ■中級部男子 九州・金健昊監督
ミスを恐れず、難しいプレーにチャレンジする、何事にも向かっていく姿勢を忘れずゲームにおいてもひるまない、そういったチーム作りを行ってきた。 状況に応じたミートの徹底、攻守両面において的確なスペーシングがとれるよう指導し、プレーヤー、ベンチ、観客が楽しめる「超攻撃型の魅せるバスケット」を目標にしてきた。今大会では、不安要素もいろいろあったが、3年生を中心にチームが団結する姿をみて、その成長ぶりに感動をおぼえた。 中体連での県大会出場、在日大会では選手権、中央大会での3連覇を目標に昨年まで2連覇を達成。3年目となる今年も良い結果を出せるよう、指導していこうと思う。 この2年間の輝かしい成績は、保護者、スタッフのアドバイスとサポートなくして考えられない。今後、九州のバスケットを守り輝かせる一員として尽くしたい。 ■中級部女子 東京・゙良叔監督 初心に戻り、体力づくりとメンタル強化を目指し緊張感ある練習を心がけた。夏休みの練習の半分以上は、道場破り級の練習試合。実践の失敗を実践で修正し、どんな相手にも対応していくというスタイルで指導した。 結果よりもどんなプレーに集中するかという点を重視した。理想のコースでボールを見ながら走る、シュート前のボールの受け方やステップの動きに対する意識を高めシューティングにも集中した。基礎練習とともに、自分よりもチームを思いやる気持ちを大切にするよう一貫して指導した。 閉会式後、屋内競技場客席の掃除を終え、最後のミーティング時。生徒たちは今大会の成果として、規律ある日常生活、礼儀、丁寧なあいさつ、会場への気配りなど、試合内容よりも「基本的なこと」を成果としてあげた。 主将が私に駆け寄り「先生、3日間ありがとうございました」と礼を言った。引退試合でもなく、卒業式でもないこの日、プレーでの成長よりも彼女たちの観点の成長をうれしく思った。これが優勝の大きな鍵であったと確信している。 勝利の真意は、ただ試合を制するだけで勝ち得るものではなく、基本的な生活が充実したとき、より大きな人生の糧になると再度確信した。 ■高級部男子 東京・李成哲総監督 常に東京朝高の代表である自覚をもって、朝青生活のなかに部活があり、そのなかで自らの人間性を育めなければ、バスケットにも反映されないという信念をモットーにしている。 学校の班やチームでの自分の役割、他人のために何ができるのかという意識を高めることによって、必然的にプレーに対する自己責任とヘルプに対する意識が高まる。 学生として、プレーヤーとしての人間性は、「両立」という姿勢によってのみ確立される。勝敗よりも、学生スポーツにおいて与える教養の大切さを私自身も自覚し、指導していきたい。 東京・姜昭浩監督 中央大会優勝、東京都ベスト32以上進出を目指し、速いパッシング、素早いトランジションバスケット、インサイドで効果的に勝負することを想定したミドル、3ポイントシュートの強化を重視した。 3年生にとって最後の大会となる中央大会では、感謝の気持ちと後悔のない大会にしようと共に誓った。ディフェンスからのブレイク、パッシングからのインサイド、アウトサイドシュートの組み合わせで加点し、粘り強いディフェンスとカバーリングも実現でき、優勝を果たした。 学校生活を一生懸命、かつ楽しく送り、部活にも意欲的に取り組んできた結果が試合のワンプレー、ワンプレーにはっきりと表れていた。 10月末からは高体連新人戦だ。学校数も多く困難ではあるが、東京朝高の信念、朝青生活と部活の両道をモットーに、学生らしい一生懸命なバスケットを展開し高さの不利を走ることでカバーして都大会進出を果たし、同胞たちに感動を与えたい。 ■高級部女子 大阪・金采玹監督 中級部時代から優勝経験のない選手たちに、どんなことがあっても中央体育大会で優勝させてあげたいという一心でがんばってきた。 学習と朝青活動に積極的に参加し、模範的であると同時に、練習の意図を正確に理解し集中して励んだ。とくに、部員数(経験者6人、初心者4人)が少ないため、対人練習ができないので、イメージ(OFイメージ、DFイメージ、リングイメージ、フロアイメージなど)を重視しながら練習を重ねた。 また、ボールをいっさい使わないフットワーク、ハンドワークトレーニングを1カ月積み重ねたあと、スキルアップの個人ドリル、集団ドリル、システム練習、そして練習試合などを段階的に行った。 こういった苦しい練習を乗り越えてつかんだ優勝なので、喜びと感動は大きかった。サポートしてくださった学父母、協会役員、卒業生たちに対し、感謝の気持ちを抱くとともに、連覇を目指してがんばっていきたい。 編集後記 中央大会には例年以上に大勢の父母が応援に駆けつけた。 ジャッジに対する歓声、そして罵声もすごかった。プログラムを開くと、競技人口の増減を一目瞭然と確認できたが、バスケ高級部部門の参加チームは、3年後くらいには増えるだろう。実際、初級部では神奈川や愛知、大阪などで新規活動が盛んになってきている。 バスケばかりではいけないと思っているが、「せめてバスケは」という気持ちで生徒たちに良い場を提供していきたい。 さて、中央大会の中級部予選の審判をしていたときの出来事。 フリースローやアウトオブバーンズのときにK校(仮名)の女子プレーヤーがボールをわざわざ私のところまで持ってきてくれた。本来なら、パスでくれたり自分で取りに行くのだが、その生徒は第4クオーターを終え、ヘトヘトになりながらも試合終了時まできちんと手渡してくれた。日常の指導が行き渡っているのだろう。一朝一夕で身につくことではない。 K校はその試合で負けたが、今後は必ず強豪校となるであろう。また、そうなってもらいたい。 【コリアンバスケットボールネット編集部】 [朝鮮新報 2008.10.1] |