金光浩代表コーチとW杯アジア最終予選を分析 |
「前へ前へ」の強い意識 サッカー朝鮮男子代表は、FIFA2010年W杯南アフリカ大会出場に向け、10チームをふたつのグループに分けホーム&アウェー方式で行われているアジア地区最終予選(9月6日〜09年6月17日)に臨んでいる。グループA、Bの上位2チームずつが本選に出場し、3位同士のプレーオフに勝ったチームがオセアニア地区1位との大陸間プレーオフに挑み、勝てば本選に出場できる。同予選5戦を残し次戦以降について、代表コーチを務める在日本朝鮮人蹴球協会・金光浩副会長の分析を基に展望した。 攻撃支える守備力
南朝鮮、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦とのアジア最終予選グループBに属し、1966年以来2度目の本選出場を狙う朝鮮は現在、9月6日のアラブ首長国連邦戦(アウェー)2−1、9月10日の南朝鮮戦(ホーム)1−1、10月15日のイラン戦(アウェー)1−2の成績で1勝1分1敗(勝ち点4)とし、3位につけている。 朝鮮代表チーム関係者によると、最小限の目標は最終予選進出だったという。 同予選を控え、朝鮮を代表するサッカー解説者の李東奎さん(体育科学院体育科学研究所サッカー研究室研究員)は、キム・ジョンフン現監督の就任によってチームは以前の攻撃的なスタイルからディフェンスでボールを奪いスピードある攻撃へと移行するスタイルに転換したと指摘。「一人でも攻撃の突破口を開ける能力のある」鄭大世選手の加入が、ホン・ヨンジョ選手などとの迫力ある攻撃力を生んだ(李さん)。 この迫力ある攻撃が可能になったのは、朝鮮の強固なディフェンスにある。朝鮮は3次予選の全6戦を無失点で終えた。FIFA主催の公式戦で540分もの間、無失点で抑えたことは注目される記録だと、金光浩副会長は以前、指摘したことがある。守備意識の高さの浸透が結果に表れているのだ。 そして今回、金副会長は防御と攻撃の中継役である安英学選手の老練なプレーを評価しながら、ゴールキーパーのリ・ミョングク選手の身体能力の高さも指摘する。キック力、ジャンプ力ともに豊かで経験があり、チーム内での信頼は厚いという。「失点シーンのみを見て評価してはいけない」と金光浩副会長は話す。 平壌で勝ち点3を
現在、5−4−1から3−5−2、3−4−3、4−3−3とフォーメーションが移行していく朝鮮チーム。「チームの力量を考えた適切な構成」である5−4−1という形について、チーム内には「試合を主導するための受身の形」という新たな認識が浸透しつつある。3次予選では、攻撃時に3−6−1へと瞬時に移行する迫力あるカウンター攻撃も見られた。 また、安英学、鄭大世選手など召集組がチームに良い刺激を与え、選手間のコミュニケーション力が高まり続けていることも新たな認識の浸透をもたらしたひとつの要因で、現在ではベンチ選手たちも同レベルの力を発揮できるようになりつつあるという。 今後、朝鮮チームは最終予選のホーム戦すべてで勝ち点3を狙う。まずはサウジアラビア(09年2月11日)、アラブ首長国連邦(同3月28日)とのホーム2戦が大事な試合だと言える。ここで2勝し、現在予選首位の南朝鮮にアウェーで臨み(同4月1日)、本選出場に向け弾みをつけたい。朝鮮代表は暖かい地方へ遠征し、来年2月11日までにベストコンディションにもっていくという。 李東奎さんが指摘しているように、最終予選のポイントはイラン戦にある。引き分け狙いだった10月15日のアウェー戦では1点差で負けた。しかし、同試合で鄭大世選手があげた1点は、予選3位までに本選出場への可能性が残る今後の順位に影響してくるだろう。 ディフェンスとともに、攻撃陣の威力が増していると自信を見せる金光浩副会長。「イランともやりあえる手応えを得ており、チームは『前へ前へ』という高い意識を持っている。われわれは最後まであきらめない」。 チームの精神的な柱として攻守のすばやい切り替えを任せられている安英学、得点への期待がいっそう高まる鄭大世の在日2選手は本選出場に向け、大きな役割を果たすだろうと付け加えた。(李東浩記者) [朝鮮新報 2008.11.26] |