朝鮮女子サッカー 強さの継承、アジアから世界の「女王」へ |
未来担うユース世代に期待 【平壌発=李相英記者】先日ニュージーランドで行われたFIFA(国際サッカー連盟)主催の第1回U−17(17歳以下)世界選手権大会で優勝するなど、近年朝鮮の女子サッカー界では若い世代の活躍が目立っている。次代を担うユース代表チームの躍進は、朝鮮女子サッカー界の明るい未来を予感させる出来事として鮮烈な印象を残した。 さらなる飛躍を
今回、朝鮮は栄えあるU−17ワールドカップ第1回大会の優勝チームに名を刻んだ。朝鮮女子代表がFIFA主催の世代別世界選手権で優勝したのは06年のU−20ロシア大会についで2度目。連覇を目指して臨んだU−20チリ大会(11月19日〜12月7日)では準優勝に終わったが、同大会でもユース世代の強さをあらためて強く印象づけた。 2つの大会は、朝鮮女子サッカーの未来を占う場として国内関係者の注目を集めた。それだけに今回の成果は、次代を担う若い才能が着実に育っている事実を示すものとして多方面から賞賛を浴びた。 朝鮮女子A代表の世界ランキングは08年9月現在で5位。アジアで最高レベルの実力を誇り、世界でも強豪の一角を占める。ここ数年の成績を見てもその強さは際立っている。06年12月のアジア大会(カタール・ドーハ)で連覇を果たしたのを皮切りに、今年も東アジア選手権(2月、中国・重慶)で2位、アジアカップ(5〜6月、ベトナム)では01年、03年に続き3度目の優勝に輝いた。 今年8月の北京五輪。初出場の朝鮮はナイジェリア、ドイツ、ブラジルという最難関のグループに属した。1勝1敗1分けの成績で惜しくも予選敗退となったが、世界のトップと互角に渡り合うなどさらなる飛躍の可能性を感じさせる内容だった。 アジア最強と呼ばれて久しいA代表だが、世界大会となると昨年のワールドカップでのベスト8が最高。今後、上位進出を目指すうえでも、今回のユース代表の活躍は明るい材料だ。 実力証明した若手
女子サッカー界の現状を見ると、各年代の代表チームが国際大会で好成績を収める一方、世代交代も徐々に進みつつある。 先ごろ、A代表の主将であるリ・クムスク選手の結婚がメディアを通じて伝えられた。長年にわたって代表選手に名を連ね、不動のエースとしてチームを引っ張ってきたが、結婚を機に一線から退くとの見方が有力だ。 10月から今月にかけて相次いで開催されたユース世代の世界大会に出場した選手たちが次に続くのは間違いない。過去にも、06年のU−20ロシア大会優勝メンバーからキル・ソニ、キム・ソンファ選手をはじめ、多くの選手がA代表入りし、現在では主力として活躍している。 今回のU−17、U−20大会に出場した選手の多くがフィジカルの強さに加えて個人技の高さ、戦術面での適応力を証明した。 U−20チリ大会でチームの中心選手として準優勝に貢献したラ・ウンシム選手もそのうちの一人。今大会の予選も兼ねた昨年のAFC(アジアサッカー連盟)U−19選手権で朝鮮を優勝に導き、MVPと得点王に輝いた。07年AFCユース年間最優秀選手賞も受賞するなど、今後の活躍が最も期待される選手だ。20歳を迎えた今年、A代表にも選出された。 また、U−17代表チームの主将を務めたペ・ヨンヒ、大会で4ゴールを挙げたチョン・ミョンファ選手などは、上の年代でも中心選手として力を発揮することが確実視されている。 全世代での強さの背景には、国家的関心のもとで女子サッカー強化にまい進した選手育成の歴史がある。その一貫した育成システムは、現在もさらに整備され、女子サッカーの裾野は年々広がっている。今回優勝したU−17の選手らは、国家代表チームの活躍を見ながらサッカー選手を志し練習に励んできた世代だ。 「アジア王者」から「世界王者」へ。朝鮮女子サッカーの礎を築いた先輩の後を継ぐユース世代の今後に熱い視線が集まっている。 [朝鮮新報 2008.12.12] |