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女子サッカー界の発展に貢献 リ・クムスク選手と夫に聞く、目標は代表チーム監督

引退、結婚、そして第2の人生

 【平壌発=韓昌健記者】 アジアのみならず世界の舞台で活躍し、中心選手として朝鮮女子サッカー界の発展に多大な貢献をしたリ・クムスク選手(30)。先日、15年に及ぶ現役生活にピリオドを打ち、指導者としての道を歩む決意を表明した。これからは夫のパク・チュンヒョクさん(32)とともに第二の人生を歩む。夫妻に話を聞いた。

−在日同胞を代表し、結婚おめでとうございます。まず、リ選手に伺います。今の心境は。

 リ 区切りがついたという感じです。結婚式も終わり、ほっとしています。

−結婚が引退の契機になったのですか。

 リ いいえ、そうではありません。夫は、あと1〜2年は待ってもいいと言ってくれました。私も、結婚を急がずにもう少し現役を続けるつもりでいました。北京五輪開幕前までは。

−では、北京五輪が引退のきっかけに。

互いを「同士(トンジ)」と呼び合う二人。夫妻ともに女の子が欲しいという

 リ はい。北京五輪で体力の限界を感じる試合が続きました。同じ距離を走っても今までとは疲労度が違ったり、一対一の局面で踏ん張れなかったり。

 昨年のW杯直前に痛めた足首のケガも大きかった。無理を押して出場したことが結果的に仇となりました。それ以来、満足のいくプレーができなくなりました。

−惜しむ声もあります。

 リ ええ。とくにチームメイトはまだまだ一緒にやろうと言ってくれます。

−未練はありますか。

 リ ないとは言えません。しかし、もはや万全の状態には戻れないし、故障を抱えたまま現役にこだわっても、チームのためになりません。幸い、優秀な若手がどんどん成長しています。彼女たちに道を譲ってあげることも賢明な判断だと思います。

−将来、また現役に復帰する可能性はありますか。

 リ ないと思います。満足のいくプレーができなくなった時点で、その可能性はなくなりました。

−もう少し詳しく聞かせてください。

 リ 周囲は、私に対して常に高いレベルでのプレーを求め、すばらしいゴールを望みます。ですが、体力は日に日に衰え、ケガもなかなか治らない。サッカー選手として、自分のできる最大限のことができなくなったということです。

−プレッシャーには強いタイプですか。

 リ いえ、どちらかといえば弱いタイプ。ナーバスになりがちでした。

−苦悩はありましたか。

 リ 体調が悪くても足が痛くても常に第一線に立ち続けなければならなかったこと。あと、優秀な若手の台頭にも焦りました。

−海外でプレーしたいと思ったことは。

 リ べつに。とくに興味はありませんでした。

−世界はあなたに興味がありますが。

 リ (笑)。

−これからの予定は。

 リ ケガの治療に専念しながら、3〜4年はコーチとして選手の育成方法を学ぼうと思っています。

−マラドーナが代表監督になって話題になりました。将来は、リ選手も?

 リ はい。そう考えています。女子代表の監督は、女子選手出身という方向になっていくと思います。

−在日同胞にメッセージはありますか。

 リ 選手としてプレーすることはできませんが、いつの日か代表監督として現場に戻り、期待に応えられるようがんばります。

−そろそろパクさんにも質問しないと。

 パク (笑)。

−結婚について伺います。出会いはいつですか。

 パク 私が17歳、妻が15歳のときです。

−そんなに早くから。

 パク はい。当時、私の父と妻は4.25体育団でサッカーの師弟関係にありました。その関係上、毎年正月になると妻が私の家にあいさつに来ていました。チェサが終わったあと、よく外で一緒にボールを蹴りました。

−そのときから?

 パク まさか。まだまだ互いに子どもですよ(笑)。背の高い子だなと思ったぐらいです。一緒になるなんて考えもしませんでした。

−交際を始めたのはいつ頃から。

 パク 2006年からです。

−リ選手は、人気があったのでは。

 パク ええ。ただ、当時の妻はサッカー漬けの毎日で、異性に興味を示すような感じではありませんでした。みんな声をかけるのを躊躇していました。

−よくゲットできましたね。

 パク 妻に声をかけたきっかけも父です。そろそろ誰かと結婚しなくてはと考えていたとき、いきなり父が「クムスクをどう思うか」と聞いてきたんです。それ以来、気になって…。

−それで?

 パク 競技場の外で妻の練習が終わるのを待って、デートに誘ってみました。最初は断られましたが、何度かアタックするうちにOKしてくれました。そのあとから自然と付き合うようになりました。

−有名人を妻にした心境は。

 パク 誇りに思います。街を歩いていて、子どもたちが「クムスク選手!」と声をかけてきたりするときなんかは、なおさら。

−そのときパクさんは。

 パク よく「お兄さんですか?」と聞かれます。

−妻としての評価は。

 パク 50点ぐらい(笑)。まだ新婚生活が始まったばかりですから。私に対する点数はもっと低いと思います。妻は、ほんの1カ月半前までサッカー中心の生活を送ってきましたし。

−たしかに。台所に立つ姿が想像できません。

 パク 料理は一生懸命作ってくれます。本を参考にしたり母親に相談したり。炒め物が多いですね。

−夫としては。

 パク 妻の目標が叶うよう、つねに傍で支えてあげようと思っています。

−お忙しいところをありがとうございました。

[朝鮮新報 2008.12.22]