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春・夏・秋・冬

 「理念のない人間は変わり身も早い。臨機応変、いや風見鶏。だから、あまり心配する必要はないのではないか」。南朝鮮・李明博大統領が口にした一連の対北公約、発言に対するソウル勤務の長かったベテラン記者の見解である

▼80年代以降の南朝鮮政治が、前政権否定という作業の繰り返しだったということはよく耳にする。いや南朝鮮だけに限らない。前政権を否定する過程を通じて、民心に新政権のインパクトを強く与える、という手法は理念なき統治者によく見られる行為である。ブッシュ米政権がクリントン政権の、とりわけ「核合意の白紙化」という対朝鮮政策に対して取った対応は記憶に新しい

▼南朝鮮で唯一、そうした過程のなかったのが金大中から盧武鉉政権にわたる10年間だった。「太陽政策」は「民族繁栄政策」に引き継がれ、6.15共同宣言は10.4宣言へと具体化された

▼ところが李政権はその全否定に走っている。19日からの訪米時には「わが民族同士」とはまったく相容れない「韓米同士」を目指す事を鮮明にした。朝鮮戦争で殺戮の限りを尽くした米軍を称え、南朝鮮繁栄の「礎」になったと指摘。「朝鮮半島とアジアの平和、繁栄」に向けた「21世紀の韓米戦略同盟」構築というマスタープランにも言及した

▼一部の報道によると、このマスタープランは、南朝鮮駐留米軍の世界展開を容認し、「南北統一」後も米軍の核の傘提供など軍事的関与を許容する内容が柱になっているという。理念なき政治は不安定さだけをもたらす。朝鮮半島情勢の今後が危惧される。(彦)

[朝鮮新報 2008.4.18]