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春・夏・秋・冬

 名古屋高等裁判所は、日本の航空自衛隊が米国の要請によってイラクのバクダッドへ武装多国籍軍の兵員輸送を行っている事実に対して、同地はイラク特措法にいう「戦闘地域」に該当すると判断。同法2条2項などや憲法9条1項に違反するとの判決を出した

▼日弁連はすぐさま会長声明を通じて「憲法前文の平和的生存権について具体的権利性を認めた画期的な判決」だと高く評価し、自衛隊のイラクへの派遣の即時中止、全面撤退を強く求めた

▼この声明に見るまでもなく、軍事行動という国家の敏感な部分について、これほど明確な違憲判断を下した判決は知らない。それも、れっきとした軍隊を、自衛隊という美名の下、自衛という二文字を隠れ蓑にして世界最新鋭の兵器で武装し、拡大解釈に拡大解釈を重ねて強大化させてきた現実、それを追認する現状にあってのものだけに勇気ある判決だと思う

▼しかし、である。日本の外相はこの判決を「傍論」「一人の意見」だと片付けた。裁判には勝ったのだから「行政を何ら拘束するものでもないし、(判決を)後生大事にする必要もない」と鼻から無視し、イラクでの活動を継続すると明言した。さらに、なんと航空自衛隊の幕僚長は、コメディアンの流行語を借用して「そんなの関係ねえ」と言い放った

▼裁判所の憲法判断を無視する事は、法治主義の崩壊を意味する。ましてや軍の最高指揮官が口出しし、それが社会問題にならないとはかつての軍国主義時代を想起させる。「加速する日本の保守化に警戒すべき」(中央日報)という指摘はもっともだ。(彦)

[朝鮮新報 2008.4.25]