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春・夏・秋・冬

 米国現代史を専門とする油井東京女子大教授によると、米国にとって朝鮮戦争は「勝利感なき戦争」だったという(朝鮮では停戦協定が結ばれた7月27日は『戦勝記念日』)。その理由について「南北朝鮮の武力による統一という目的が結局実現しなかったため」だと指摘している(「好戦の共和国アメリカ」)

▼3年余にわたった戦い、米国は開戦から1年の間に30万人を超える兵力を投入した。同盟軍を含めると約百万人に達し、米軍の死者は3万3千人に上った。米国世論は当初、この戦争を65%が支持した(1950年8月の調査)。しかし、死傷者が増大し戦線が膠着し始めた翌年1月時点では66%が朝鮮半島からの撤退を求め、2月には75%が戦闘停止を要求した

▼停戦に応じざるをえなかった米国は、何ら教訓を生かすこともなく、朝鮮戦争以降もベトナムに介入し、そして21世紀に入ってもアフガニスタン、イラクと「好戦」のDNAそのままに、その矛先を向けている

▼米国がこれらの戦争に踏み切った際に使ったのは「自由か独裁か」「文明か野蛮か」という単純なロジックだった。しかし、余りにも使い古されてしまった結果、今では米国内でも破綻をきたしてしまった。イラク戦争反対世論は最大68%にも上っている

▼ブッシュ大統領は今月11日、2カ月を経てようやく朝鮮に対する「テロ支援国家」指定を解除した。朝鮮敵視に端を発する封じ込め・圧殺政策に大きな穴が開いた。米国一極支配崩壊の始まりを告げる、象徴的な出来事として記憶されるかもしれない。(彦)

[朝鮮新報 2008.10.17]