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春・夏・秋・冬

 最近、同年輩の友人たちと会うたびに聞かされるのが60歳定年の話。もう、そんな年になったのだと思う一方で、朝鮮半島問題に関わってきた者の集大成として、何かを形にして残したいと、これまた異口同音に口にする。在日朝鮮人の歴史を一から学び直そうとする者、北南対話を現場で見続けてきた体験者としてその有り様を一冊にしようと試みる者、これまたさまざまだ

▼ある集いで、本当に久しぶりに再会したある記者は、現役を退いてからも朝・日関係を見続けている。決して考えが一致する記者ではなかったが、それでも言う。「小泉訪朝後の流れがどうして今のようになったのか。画期的な平壌宣言、しかし現状はそれ以前に戻ってしまっている。小泉訪朝という事実、そして平壌宣言を白紙に戻そうとする何か目に見えない力が動いているような気がしてならない」

▼日本にはかつて、戦前にも政党政治は存在した。が、天皇の統治の下、形骸化していた内実は、軍部の干渉によってさらに機能しなくなってしまったという事実は多々、指摘されてきた

▼今の日本社会はどうか。「目に見えない『指示』によって動かされているようだ。野党に対する監視、さらには税理士法違反容疑の捜査に公安警察=外事課が当たるなど、警察政治、戦前の特高政治が思い起こされる」と前述の記者は警鐘を鳴らす

▼政治が政治の体をなさなくなった時、頭をもたげてくるのは力を持つ軍部か警察だというのは古今東西の歴史が示している。沈黙に将来はない。弾圧には抗議の声で対抗していかなければ。(彦)

[朝鮮新報 2008.12.5]