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南大門炎上−気概もって歴史遺産保存を

 600余年前に建造されたソウルの南大門が放火によって全焼したことは、悔やみきれないほど残念なことである。

 これまで朝鮮を襲った数知れない戦乱を潜り抜けて今まで生き延びてきたのに、なんと言うことか。その近くにはアジア有数のマーケット街がある。まさに庶民の暮らしと共に生きた歴史遺産だったのに…。

 祖国統一のためにも、祖先から受け継いだ文化遺産を保存し、子孫に引き継ぐことは大切なことだ。ただ古いものを保護するだけでなく、時代精神などを受け継ぎ、絶え間なく次世代を啓蒙・教育していくことが求められる。

 その一例として私たちになじみ深い平壌城の遺跡のありようが参考になる。牡丹峰から見下ろす大同江の滔々たる流れ、緑豊かな街並みを眺めると高句麗時代の気性が蘇ってくる気がする。427年、高句麗が遷都して以来、1500年の悠久なる歩みが刻まれている。

 度重なる外敵の侵略を打ち破って、国土を守るうえで、平壌城は大きな役割を果たした。その激戦のなかで生まれた数々の英雄譚は、北の映画、小説などで繰り返し取り上げられてきた。

 なかでも名高いのが、秀吉の朝鮮侵略のさなか、平壌城奪還の戦いに身を投じた金応瑞将軍と愛国名妓桂月香の物語。ここを舞台にして空前のスケールで描かれた歴史小説「平壌城の人々」(李英圭著)は、祖国防衛戦における義兵はじめ民衆の熾烈な戦いをドラマチックに描いたもの。

 いまも牡丹峰には、最期まで志操を貫いた桂月香にちなみ、「カルゲ丘」の地名が残されている。

 祖国を死守した人々の愛と誇りが息づく遺産を守ろうとすれば、現代人はそれに匹敵する気概を持つべきであろう。(粉)

[朝鮮新報 2008.2.15]