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「アイヌ先住民決議」−同化政策の過ち徹底清算を

 6日の衆参両院でアイヌを先住民と認めるよう政府に求める決議が採択された。そこでは「差別され、貧窮を余儀なくされた歴史的事実」が指摘された。国連人権条約監視機関の指摘の通り、アイヌ民族の権利を長年にわたって蹂躙してきたことを思えば、一日も早い社会・経済的な権利の回復に向けた取り組みをすべきであろう。

 明治政府が1899年に制定した「旧土人保護法」。アイヌを「旧土人」と蔑み、アイヌ民族の土地と言語、名前を奪い、伝統文化を否定し、奴隷労働を正当化するために作った悪法だ。「保護」という名の同化政策であった。この法はなんと、アイヌの人々の運動と国連はじめ国際世論の批判を受けて1997年に「アイヌ文化振興法」が成立されるまで、約1世紀も生き延びたのである。町村官房長官は、今決議を受けて談話を発表し、「アイヌの人々が…とりわけ北海道に先住し、独自の言語、宗教や文化の独自性を有する先住民族」との認識を示した。しかし、100年にわたる人権蹂躙と徹底した伝統文化の破壊によって、すでにアイヌの言葉や文化、風習を身につけている人はごくわずか。今後、アイヌ自身の手による文化の保存と伝承への力強い取り組みが続けられるに違いない。

 いま、日本でなすべきは、悪名高いアイヌ同化政策の清算であろう。それは後の台湾、朝鮮への植民地支配の前駆をなすものだった。その全ての原型となったのがアメリカインディアンへの文化破壊・殺りくを合法化した米国の「ドーズ法」。これを日本にもたらし、アイヌ、朝鮮、台湾への侵略の道を開いたのが、明治の知識人・新渡戸稲造だ。まず、彼らの罪を問い、約100年も続いた差別政策にメスを入れるべきだ。(粉)

[朝鮮新報 2008.6.20]