top_rogo.gif (16396 bytes)

牡丹峰の休日−豊かな自然と悠久な歴史と

 先月、祖国訪問した折の日曜日、平壌市内を散策した。宿舎の高麗ホテルを出て、平壌ホテルの裏側から大同江へ。

 平壌の代名詞でもある柳の緑が艶々と光を浴びて水面にその姿を映し出す。その脇の遊歩道をひたすら歩く。大同橋を背に大同門、平壌鐘、練光亭など高句麗時代の国宝をゆっくり眺める。度重なる戦火にあい、高麗、朝鮮朝時代に修復されたもの。風流な眺めにしばし時の流れを忘れる思いだった。

 練光亭では丹青の塗り替えと屋根の修理が行われていた。貴重な文化財を子々孫々に伝えようとする国のありようがそこには見えた。

 玉流橋のたもとには、ポリバケツなどを持った人々が群がっていた。そこには「玉流薬水場」の看板が−。聞けば、ミネラルや鉄分が豊富に含まれる名水が、市民に提供されているとのこと。一杯飲ませてもらったが、味は「…」。

 人出も次第に膨らんでいく。ボートや釣り、朝鮮将棋に興ずる人たち、家族連れも楽しそう。綾羅橋を右に見ながら、いよいよ牡丹峰に登る。麓から力強い歌声が響く。「青年公園野外劇場」に集う若者たちのサークル活動のようだ。紅葉とたなびく雲、由緒ある歴史と人々のさんざめき…。足元に小さなリスが寄ってきて、目の前を飛ぶのは、パンダのような白と黒の配色のカチ(カササギ)。豊かな平壌の自然に身も心もリラックスする思いだった。

 乙密台から隋の煬帝の高句麗遠征に壊滅的打撃与えたことで知られるはるか大城山を眺望しながら、左に折れて牡丹閣に降りていく。ホテルを出てすでに3時間。来た道を折り返し、玉流館で一服、冷麺に舌鼓を打った。(粉)

[朝鮮新報 2008.11.7]