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「知る」そして「進む」

 5月のとある日の報告会。ウリハッキョへの税制上の差別をなくすべく立ち上がった弁護士たちの熱弁を聞き、帰途についた私の心はとても高揚していた。今から10年前にも同じような気持ちになった覚えがある。

 当時、横浜港を一望できる丘の上のウリハッキョで教員をしていた私は、民族教育への差別的処遇を是正するよう出された初の日弁連勧告を職場の同僚らと共に感動の中で迎えたことを鮮烈に記憶する。国連で初めて日本政府に対してウリハッキョへの差別是正について勧告がなされたのをきっかけに、勉強会にも通ったり、授業時間を割いて生徒たちに勧告の意義を話したりもした。

 そして10年目の今年、日弁連はウリハッキョや中華学校に通う子どもたちの学習権を守るべく再度立ち上がった。

 子どものお迎えのため一足先に報告会を抜け出た私の脳裏には、正義を信じて突き進んでいる若手同胞弁護士の自信に満ちた表情が焼きついて離れなかった。

 (私には何ができるだろうか?)

 この10年、私は住み慣れた土地を離れ、新しい職に就き、妻、そして母となり、毎日を必死に駆け抜けている。

 そんな私にできること…まずは「知る」ことではないだろうか。評論や自己陶酔するのではなく「知る」ことでウリハッキョを取り巻く現状を理解し、解決の糸口を探し、自分の行くべき道、やるべきことを見つける。

 「知る」、そして「進む」。いつの日か私もあの弁護士たちのように突き進んでいけるよう日々「知る」ための積み重ねを大切にしよう。(梁明順、東京在住、会社員)

[朝鮮新報 2008.7.25]