「早期実現を市民の手で」集会に参加して 平壌宣言に沿い過去清算、国交を |
「東アジアに生きるわたしたちのこれから−日朝国交正常化早期実現を市民の手で−」と題した集会が2月14日、下関勤労福祉会館で行われ、約180人が参加した。第一部では「朝鮮半島情勢とこれからの朝・日関係」と題し、浅井基文氏(広島市立大学広島平和研究所所長)が講演した。続いて山口県立大学サムルノリサークルと朝鮮青年同盟県本部のメンバーらが合同で、サムルノリ演奏を行った。第二部、特別アピールでは昨年の下関教育長妄言の問題点、県補助金増額の経緯、朝鮮商工会への日本当局の不当弾圧の実態について、それぞれ報告がなされた。集会参加者の感想を紹介する。
若者たちの交流で
山口県立大と朝鮮青年同盟の若者が伝統的な「農楽」を演じた。まずは若者の交流を目の当たりにし、日朝国交正常化の訪れる日は遠くないという思いを持った。 浅井氏の話を聞いて感じたことは、朝鮮半島情勢は一言でいえば米国の姿勢が最大のポイントであり続けてきた。すなわち、朝鮮戦争当時(1950〜53年)の米国の核兵器使用の「おどし」にはじまり、その後、米国の圧力に対して常に朝鮮が身構えることを余儀なくされた歴史であった。 米国は昨年、朝鮮への「テロ支援国家指定」解除を行い、今後は段階的に朝鮮の非核化を進める方針という。しかし朝鮮からみて、米国が敵視政策をやめ、同時に、韓国に対する米国の核の傘がなくなるという前提がなければ、朝鮮半島の非核化は実現しないという主張はよく理解できる。すなわち、米朝相互の不変の信頼関係の構築こそが不可欠であるということだ。 米国はベトナム敗戦、イラク撤退、イラン国交断絶にみられるように、もはや「世界の保安官」を自認するのをやめ、各地域・諸国との友好・連帯の関係構築へとスタンスを変える時期にきていると思う。 今回、平壌宣言(2002・9.17)の中身を初めてじっくり読んだ。この宣言に沿い、速やかに日朝国交正常化が実現されなければならない。そのための日朝間の課題は、まず、植民地支配の清算を誠実に行い、さらに日本が自主的に朝鮮への敵対と緊張関係を終了させることが求められる。そうした日朝国交正常化を真剣に進めることを通じ、初めて被爆国・日本は6者協議の中で朝鮮半島の核問題の解決において存在感を示すことができるようになると思う。
在日への不当弾圧
2002年9月に「拉致」事実が明らかになり、両国間で未解決な部分の解決が求められている。日本の国会議員のタカ派と思しき者がブルーリボンをつけ、声高に「拉致問題の解決なくして日朝国交正常化なし」と叫び、それに同調するマスコミは洪水のように「拉致」報道を流す。しかし、宣言のどこを見ても上記のような記述はない。 これは日本政府が、朝鮮が「拉致」を再び行わないという事項を、被「拉致」者帰国問題と意識的に混同させ、すり替えを行っていることが今回の講演でわかった。 もちろん、「拉致」問題の未解決は宣言の履行と併行し、別個に両国間で解決が図られなければならない。 昨今、「拉致」問題の解決のための圧力と称して警視庁公安部当局による一方的な口実・圧力で総連の本部や朝鮮商工会への不当な強制捜査が強行されている。 そうした不当捜索は、日朝間の不信を増長するだけだと政府は認識すべきだ。今集会で新たな観点から日朝国交正常化の重要性を知り、本当にいい学習の機会になったことに感謝したい。 (内岡貞雄) [朝鮮新報 2009.3.4] |