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ゲバラと米国、そして朝鮮

 オバマ政権発足で米国の対キューバ政策の変化が取りざたされている。先日、見たチェ・ゲバラ2部作映画は、対キューバのみならず米国の対外政策全般の本質を考える上で示唆的だった。

 ボリビア軍事独裁政権誕生の裏で暗躍し、ゲバラ暗殺計画を立案したといわれているナチ戦犯クラウス・バルビー。バルビーを戦後もかくまい利用したのが米国だった。また、ゲバラ処刑を命じた亡命キューバ人のCIA職員、フェリックス・ロドリゲスはその後も中南米の左派勢力弾圧に腕を振るい、ベネズエラのチャベス大統領の暗殺計画にも関与した。中南米情勢の背後にちらつく米国の影。映画では描かれなかった部分に、米国のむきだしの暴力性が表れている。

 「反共の大義」の下、各国の抑圧政権を支持した米国の2重基準の政策は今も世界に災厄をもたらしている。「敵の敵は味方」どころではない。

 ゲバラの反帝国主義の姿勢は朝鮮ともつながる。彼が生前の1960年12月、朝鮮を訪れたことはよく知られている。錦繍山記念宮殿には、金日成主席と握手を交わす写真が飾られている。「アジア、アフリカ、ラテンアメリカの革命闘争では数千、数万の新たなゲバラが現れるだろう」。金日成主席はゲバラ没後1周年に寄せた論文の中で語った。道半ばで倒れた彼の精神は、反米自主を掲げる中南米諸国で結実しつつある。

 ゲバラは朝鮮で何を思い、感じたのか。興味は尽きない。不条理に満ちた現代だからこそ、彼の生きざまや残したメッセージは胸に響く。(相)

[朝鮮新報 2009.3.9]