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取材ノートも使いよう

 記者にとって取材ノートは必要不可欠な「武器」だ。

 取材内容を記録するにはさまざまな方法がある。今では写真、映像、音声などをデジタルで記録することはあたりまえ、速報性が要求されるときは、記者会見中に携帯電話のメールを利用して記録をデスクに逐一送信する記者もいる。

 ただ、規制の厳しい記者会見や慌しい現場では、デジタル機器を利用できなかったり拒否されたりすることもある。そうなると自分の記憶とメモだけが頼りになる。後で記事を書くときの唯一の客観的材料、証拠になることもある。「メモる」行為は原始的だがあなどれない。

 献金事件に関して特定の政党を擁護する発言をしたと報じられた漆間巌官房副長官は後日、「発言が誤って報じられた」「記者の認識の問題」と開き直った。録音もメモもできないオフレコ記者懇談会での発言だったため証拠がない。その場にいた記者たちは武装解除も同然で歯痒い思いをしていることだろう。

 一方、オフレコだったから気が緩んで失言をしたとも考えられる。メモや録音が許されていたなら、当たり障りのない発言に終始し、たいしたニュースにならなかったかもしれない。

 インタビューではメモを取らないと「ちゃんと聞いているのか?」と相手に疑念を抱かせ失礼な印象を与えかねない。だが、記者がメモ帳を取り出したとたん、口数が減ったり深い話を避けたりする人もいる。

 発言をコントロールしてしまう「武器」。取材ノートも使い様だ。(泰)

[朝鮮新報 2009.3.23]